骨喰君を看病したい 2 ページ6
震える腕をもう片方の手で固定しながら、彼の口に運んだ。
ぱくり、ぱくり。
ほんのりと頬が赤い彼は、目を細めて桃を味わっているようだ。
「……うまい」
「そっか。それなら良かったよ」
「もっと欲しい」という骨喰君の要望に応えて、私は次々と桃を口元へと運ぶ。
あっという間に皿は空になった。
骨喰君、お腹空いていたのかな。
「とてもうまかった、ありがとう」
「どういたしまして。じゃあ私、お皿洗いに厨房に……」
そう彼に伝えて襖を開けると、何故か薬研君とはちあわせた。
あれ、薬研君、皆に骨喰君の事伝えに行ったんじゃなかったのかな。
「よ、よぉ大将! 皿なら俺が洗うからよ。貸してくれ!」
「え、あ、あぁ……。ありがとう……」
焦ったような表情をしていた薬研君は、お皿を掴むなり走って行ってしまった。
どうして急いでいたんだろう……?
疑問が残るけど、まぁいいか。
……ここにいていいかな。
でも安静にしておいた方がいいし、1人にさせておいた方がいいのかな。
そう頭を悩ませていると、審神者服の袖を引っ張られた。
いつの間にか骨喰君は布団から出てきていたようだ。
「骨喰君、駄目だよ。まだ安静にしてなきゃ……」
「そんなに俺が心配なら、ここにいて欲しい」
待って、今の言葉にキュンと来てしまった。
「分かった、ここにいる。だって、君が心配だから」
審神者としてじゃなくて、無理をする君を私はほっとけない。
♯♯♯
日も沈み、部屋の中はちょっと暗い。
骨喰君の体調はすっかり良くなったようだ。
「すまないな。あんたの時間を奪ってしまって」
「そんな事ないよ。気にしないで」
「次は、自分の体調にも気を配る」
「無理しない程度でね」
彼が元気になって本当に良かった。
安堵する私に、骨喰君は言葉を続けた。
「今日は、あんたといれて良かった」
「それなら良かったよ」
照れくさくてお互い頭をかいた。
この時私は、地獄が間近に迫っている事を知らなかった。
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ぬくまゆ(プロフ) - とても暖かくてほのぼのしくて、それでいて少し切なさを感じる素晴らしい作品でした。無表情で口数の少ない彼が徐々に心を開いていく姿は何度見ても尊いです。ありがとうございます。 (2021年5月4日 5時) (
レス) id: 91ace1ad24 (このIDを非表示/違反報告)
桜 - 骨喰、世界一愛してるぜ！(突然の告白) (2019年6月23日 21時) (携帯から) (レス) id: d29be5eacf (このIDを非表示/違反報告)
黒音_幻月(プロフ) - 白器さん» ありがとうございます……! そう言って頂けて本当に嬉しいです……! (2018年11月11日 7時) (レス) id: af2f132298 (このIDを非表示/違反報告)
白器(プロフ) - 骨喰可愛い (2018年10月27日 17時) (レス) id: 606a83cb8b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黒音_幻月(元:鈴音雪奈) | 作成日時：2017年10月24日 23時
