野菜収穫を手伝いたい 1 ページ3
「おぉ……! 結構実ったね……!」
畑に出た私は一面に実った野菜達を見て声を上げた。
どの野菜も虫に食われる事なく、美味しそうな色をしている。
収穫しがいがあるね。
トマトをカゴに収穫して30分後、ぐっと背伸びをすると、ふと畑の外れに座り込む人影が見えた。
気になってそちらへと足を進める。
「……骨喰君」
座り込んでいた彼は少しだけこちらに顔を覗かせた。
熱中症予防の麦わら帽子を被っている。
緊張しているのか知らないけど、
私は警戒されないようにゆっくりと骨喰君の側に近付いた。
「えっと、こっちの野菜はどう?」
「……あぁ。
こっちの方も虫に食われた形跡がない。良く育っている」
「そっか。それなら良かったよ」
…………。
そして、会話は底をつく。
こういう雰囲気が苦手な私は大急ぎで思考回路を巡らせ、必死に話題を探すも……。
(駄目だ。どれも長く続きそうにない……!)
彼の趣味嗜好も分かっていない現状、どんな話がいいか全く分からない。
でも、私は他の刀達みたいに、家族のようにいろんな事を分かち合いたい。
でも、どうすれば……。
と、その時だった。
「主〜、馬当番終わりましたよ〜……って。いたいた!」
「鯰尾君……!」
救世主が現れた。
俗に言うアホ毛を揺らしながら鯰尾君は私達に声をかけてきた。
そういえば彼には馬当番を頼んでいたっけ。
……あ。
「……えっ、誤解しないで下さいよ!
馬糞投げて遊んだりしてませんから!」
「いやいや、遊ばないで……。
鯰尾君は何故にそんなにその……馬の……糞が好きなの……?」
「いえ、別に好きではないです」
……好きじゃないんかい!
鯰尾というワードで真っ先に馬糞が出てくるんだけど……。私おかしいか?
「ほら、馬糞といえば俺でしょう?」
「……自覚はあるんだね」
彼の話はいつも面白い。
鯰尾君の登場でここの雰囲気が一気に明るくなった。
……と思いきや、骨喰君の反応は薄い。
兄弟だしそれなりに受けるかと思ったんだけど……。
「にしても豊作ですね。俺も手伝いますよ。
……その前に一応手を洗ってきます。
あ、理由は察して下さい」
「う、うん」
彼がパタパタと水道にかけていくのを見届けて、私は後ろを振り返る。
骨喰君は汗を滴り落として、こちらをぼんやりと見つめていた。
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ぬくまゆ(プロフ) - とても暖かくてほのぼのしくて、それでいて少し切なさを感じる素晴らしい作品でした。無表情で口数の少ない彼が徐々に心を開いていく姿は何度見ても尊いです。ありがとうございます。 (2021年5月4日 5時) (
レス) id: 91ace1ad24 (このIDを非表示/違反報告)
桜 - 骨喰、世界一愛してるぜ！(突然の告白) (2019年6月23日 21時) (携帯から) (レス) id: d29be5eacf (このIDを非表示/違反報告)
黒音_幻月(プロフ) - 白器さん» ありがとうございます……! そう言って頂けて本当に嬉しいです……! (2018年11月11日 7時) (レス) id: af2f132298 (このIDを非表示/違反報告)
白器(プロフ) - 骨喰可愛い (2018年10月27日 17時) (レス) id: 606a83cb8b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黒音_幻月(元:鈴音雪奈) | 作成日時：2017年10月24日 23時
