俺の個性 ページ15
朝食を済ませ、ふと主殿と世間話でもしたくなった。
審神者部屋に向かうと、既に先客がいた。
また後でにしよう。そう引き返そうとした時。
「本当、鯰尾君は面白くて楽しくて、頼りになる……」
主殿の声が、聞こえてきた。
「面白くて、楽しくて、頼りになる……」
うわごとのように、俺はその言葉を繰り返した。
兄弟に嫉妬、という訳ではない。
ただ、俺は面白いのかという疑問が沸き上がった。
俺は翌日、“はろうぃん”という行事で使った仮面を被り、主殿を待った。
視界が狭く反応は分からなかったが、驚いてくれた……はずだ。
内番の間、考えて考えて生み出した駄洒落『刀は肩ない』も、少しは受けた……はずだ。
だけど、どうも空回りしている気がしてならなかった。
###
そして、今に至る。
俺は兄弟のように、主殿に笑ってほしかった。
だがむしろ心配させてしまった。
その罪悪感がぐるぐると頭を支配する。
俺は、俺は……。
うなだれる俺に、あんたは明るい声をかけてくれた。
「ありがとう。私のために色々して貰っちゃって」
「そんな。俺は……」
「急に仮面被ったり駄洒落言った時はびっくりしたし、面白かった。
だけど、無理に面白くならなくていいんだよ」
「……?」
「骨喰君はいつも皆の事気にかけてる。
静かだけど、自分の考えをしっかり持ってる。
それって素敵なんだよ」
「……主殿」
柔らかに笑みを浮かべる彼女は、すっと俺の手を掴んだ。
「自信持って、今の自分を大切にしてほしい」
###
数日後。
骨喰君は以前よりも輝いているように見える。
粟田口の皆や同じ舞台の男士達と過ごしているのをよく見かける。
いずれにしろ、自分を大切にしているようで良かった。
でも、あれ以来駄洒落に興味が沸いたのか、
2日に1度は私に披露してくる。
「今度はもっと心に響く駄洒落を用意してくる。待っていろ」
「うん、いくらでも待ってる」
彼に笑顔になってほしいから。
私は今日も、彼を待っている。
・
次回が最終回になるかもしれません。
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ぬくまゆ(プロフ) - とても暖かくてほのぼのしくて、それでいて少し切なさを感じる素晴らしい作品でした。無表情で口数の少ない彼が徐々に心を開いていく姿は何度見ても尊いです。ありがとうございます。 (2021年5月4日 5時) (
レス) id: 91ace1ad24 (このIDを非表示/違反報告)
桜 - 骨喰、世界一愛してるぜ！(突然の告白) (2019年6月23日 21時) (携帯から) (レス) id: d29be5eacf (このIDを非表示/違反報告)
黒音_幻月(プロフ) - 白器さん» ありがとうございます……! そう言って頂けて本当に嬉しいです……! (2018年11月11日 7時) (レス) id: af2f132298 (このIDを非表示/違反報告)
白器(プロフ) - 骨喰可愛い (2018年10月27日 17時) (レス) id: 606a83cb8b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黒音_幻月(元:鈴音雪奈) | 作成日時：2017年10月24日 23時
