私の心寂しさを、貴方で埋めて。【太宰治】

21:貴方がいる部屋…… ページ22

｢凄く充実した部屋だな、本当に部外者の俺が住んで良いのか？｣

『一応、私の仕事先の社長には許可を取ったから大丈夫。』

今まで一人だったこの部屋は、今日からは二人になる。

本当に、今まで一人だったのかと思えない位、康太がこの部屋にいるのが不思議に感じる。

｢なぁ、服って何処に掛けたら良い？｣

『あ、待って今から場所を教えるから。』

康太に、いつも服を掛けているクローゼットの場所を教えようと、私はその場から立ち上がった。

私が“クローゼットはここ”と言いながら、クローゼットの扉を両方開けると、一回目の埋め合わせのお出掛けの時、太宰さんが私に向けて買った、あのワンピースが見えた。

あぁ……私、ダメだな……

太宰さんとは、あの関係を切ろうと思っているのに……

｢このワンピース、凄くオシャレだね。買ったの？｣

『まぁね……』

“自分で買った”というのは嘘だ。

このワンピースは、康太以外の男の人から貰ったワンピースだなんて絶対に言えない。

『ごめん、ちょっと近くのコンビニに行って、ビールでも買ってくるね。』

｢あぁ、分かった。｣

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