memory#3 ページ4
「鍵は私が預かっておくから、佐倉さんは帰って良いわよ。」
『すいません、有り難う御座います。』
「良いのよ、礼なんて。さっ若い子は帰った、帰った〜!!」
春坂先生に背中を押され、私は美術室を出て行った。
美術部員は私だけなので、帰り道は私一人。
今日も、大量の紙とスケッチブックを持って帰る。
『このスケッチブックも、あと少しで紙切れ……帰りに文具店でも寄ろうかな。』
独り言を呟きながら、真っ直ぐと校門に向かう。
春なのに風が少し冷たく吹いていて、ちょっぴり冷たくて。
「おい、手前らー!今日も外で合わすぞー!!」
この声、何処かで聞いたことがある。
凄く、透き通るような声。若しかして…………
蛍光灯が灯る光の下、あの人が筆箱をマイク代わりにして歌い始めた。
『なんて、綺麗なの………』
ゲリラライブの様な事態に、私は急いで鞄を置き、鉛筆とスケッチブックを取り出した。
でも、風のせいでスケッチブックの中に入っていたプリント用紙が全部、ひらひらと舞ってしまった。
どうしよう………全部、あの人に見せる物なのに………
「とても綺麗な絵だなァ…………これ、全部手前が描いた絵か?」
優しいラベンダーの香り、そして綺麗なブルーの瞳。
そう、私はその人に本当に出会ってしまった。
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作者名:もえ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/mokomokohi4/
作成日時:2019年1月1日 21時