前世の二人の相性は全く合いません【中原中也】

#13 ページ13

『朝…………私、気付いたら此処に………』

｢おはようございます、A様！！｣

『樋口！！いつの間に此処にいたの！?』

｢先刻からですが………｣

樋口の元気な声で、朝の眠気は何処かに飛んでいったA姫。

この様子では、中也王子と踊って星空を眺めた後のことなんて覚えていない様子です。

『ねぇ、樋口………私、気付いたら此処に居たの。中也王子と星空の下で踊って、そして星を眺めた所しか記憶が無くて………』

｢それなら………｣

A姫の発言に、樋口はにこーっとしながら話しはじめました。

｢昨日、中也様がA様を姫抱きされながら、A様のお部屋までお連れになられたんですよ！その時の中也様は、とてもA様のことを大事にされているように見えました！！｣

樋口から聞いた、昨日の中也王子の話に、A姫は顔を真っ赤にします。

樋口からみた、中也王子の昨日の行動は"A姫を大事そうに姫抱きをしたこと"、"そして、部屋までA姫を起こさないように連れて行ったこと"…………

A姫の、中也王子への見方が既にこの時、変わっていたのでした。

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