此の世界で君を探し出す【太宰治】

#5 ページ6

太宰｢広いお部屋だね｣

A｢有難う………御座います｣

他の人に、"広いお部屋だね"なんて言われたのは彼が初めてだ。

A｢ところで………｣

彼の名前を呼ぼうとするが、未だ名前を聞いていない。

太宰｢私の名前は"太宰治"だよ、Aちゃん｣

彼は、私が言いたいことが分かったのか、直ぐに名前を名乗ってくれた。

A｢えっと……太宰さん、何で私の家が分かったのですか？｣

じいに先刻、予め渡された紅茶セットを置きながら聞いた。

太宰｢実はね、乱歩さんに教えて貰ったのだよ｣

続けて｢彼は、名探偵でありとあらゆる難事件を解決してきた大物だからね｣と言った。

A｢名探偵と言えば"見た目は子供、頭脳は大人"のあのアニメの主人公みたいな感じですか？｣

太宰｢まぁ、其れと似たような感じだね｣

太宰さんは静かに笑いながら紅茶を飲んだ。

太宰さんの笑顔や態度は前にも何度か言ったと思うけど、不思議なことに幼い頃に出会った王子様にそっくりだ。

真逆彼があの時の王子様………なーんて事は無い
と思うけど。

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