此の世界で君を探し出す【太宰治】

#15 ページ16

A｢私は昔、大勢の中にいるのが苦手で、ある日、父の会社のパーティーから抜け出した時にある男の子に出会ったんです。その男の子は少し不思議な子で………名前は聞けなかったんですが、私が母の元に戻る時に此の鍵のネックレスを貰いました………｣

私は、話を為ながら首に掛けているネックレスを優しく撫でた。

未だ途中までしか話していないのに、太宰さんは理由は不明だけど驚いた顔を為ていた。

太宰｢Aちゃん、私も君と同じ出来事が幼い頃起きたよ。ある屋敷の所で私も可愛らしいお姫様の様な女の子に出会ったのだよ。其処で私は名前を知らないその子に鍵のネックレスを………｣

A/太宰｢あ｣

私と太宰さんの声が一瞬で重なった。

漸く＿＿＿＿＿＿出逢えた。

太宰｢Aちゃん、君があの時の＿＿＿＿＿お姫様かい？｣

A｢はい………!｣

何で今まで気付かなかったのだろう。

こんなにも近くにいて、こんなにも気になり続けていたのに＿＿＿＿＿＿

A｢私、貴方を探し続けていたんです………此の世界で貴方を………｣


太宰｢私もずっと君を探し続けていたよ。童話のお姫様の様な君に＿＿＿＿＿＿｣

手を握り、二人で笑い合いながら私と太宰さんは唇を交わした＿＿＿＿＿＿

────────────

そんな中、朝早くから二人を見守る男が居た。

中也｢結局Aに想いを伝えられねェ儘だったな……まぁ、後で青鯖に夜遅くから俺にLINEを送ったことを怒るけどな｣

中也は、あくびをしながら木陰で森に電話を掛けた。

中也｢首領、あぁ……朝早くにすいません……今日からAの付添人を止めたいと思います。え？理由ですか？理由は＿＿＿＿＿＿｣

"Aが幸せそうだからです"

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