此の世界で君を探し出す【太宰治】

#14 ページ15

太宰｢お父さんとお母さんのこと………悲しかったね｣

太宰さんの声は、何故だか儚く聞こえた。

A｢悲しい………ですけど、矢っ張り前を向かないと。此から沢山やることがありますし……｣

態と太宰さんの前で強がりな自分を見せて、これ以上、太宰さんを心配させないようにした。

信頼していたじいは実はスパイで、抵抗した両親をそのまま殺した。

"裏切り"という罪は確かに重い。

だけど＿＿＿＿＿＿

矢っ張り悲しいよ。

強がりになってみても、結局は弱くなってしまう。

此だと私＿＿＿＿＿＿あの時の王子様と会う資格なんて無い。

太宰｢こんな話をして御免ね。少し、話を変えるね｣

太宰さんは表情を先刻より緩くしながら私の方を見た。

*

太宰｢前から思っていたのだけれど………Aちゃんの首に掛けている鍵のネックレス。昔、何処かで見たことがあるのだよね。｣

A｢そうなんですか？｣

太宰さんは｢うん｣と頷いてから、同じく首に掛けていたネックレスを私に見せた。

そのネックレスには見覚えがあった。

綺麗な錠(ロック)の色合い。

そして、昔出会った王子様と同じ物＿＿＿

真逆、太宰さんが＿＿＿＿＿＿？

A｢太宰さん、私の昔起こった話を聞いてくれますか?｣

私の昔の話を話せば、あの時の王子様の手掛かりも摑めるかもしれない。

もし、太宰さんが仮にあの時の王子様だとしても＿＿＿＿＿＿

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