【文スト】ボクのキモチに気付いて下さい。【谷崎潤一郎】

キモチ25 ページ26

太宰｢Aちゃんに何を為た｣

太宰のこの一言は、元マフィアを漂わせる声でしかも恐ろしい顔をしていた。

Aはその間に、国木田と敦に運ばれ与謝野の治療を受けた。

中也｢"何を為た"と言ってもなァ太宰。俺の狙いはAじゃねェ、手前と其処の細雪の使い手だ｣

谷崎は、自分の事を指されて肩が震えた。

太宰｢だけど、芥川君の狙いは敦君とAちゃんだったけど？｣

太宰の声は喋る度に低くなっていく。

芥川｢太宰さん。確かに、僕の狙いは人虎と"黒百合の蝶”＿＿厭、Aです。Aを狙えと言うのは首領からの命令で……｣

芥川は先程の自身の呟きを否定するかのように言うと、太宰は｢森さんも派手なことやるねぇ｣と笑顔が1つも無い顔で芥川と中也に云った。

中也｢太宰。首領からの勧誘は如何するつもりだ？｣

太宰｢丁重にお断りするよ。君がまだAちゃんを好きであってもね｣

太宰はヒラヒラと二人に手を振りながら｢行くよ、谷崎君｣と谷崎に声を掛けた。

中也はこの時からもう既に分かっていた。

"何時か俺がAに想いを伝えたとしても、Aが選ぶのは細雪の使い手(谷崎)だ"

中也と芥川は静かにビルへと戻った。

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