【刀剣乱舞】成り代わり鶴が本丸で奮闘する話【３】

盾兵 ページ9

「現世任務ぅ？」

振り分けられた内番も終わり、三日月たち手のかかる組はそれぞれ遠征と出陣、演練。

庭で遊ぶ短刀たちの楽しげな声に、遠くから聞こえる鍛錬場の雄叫びが混じる。

最近は何かとゴタゴタしていたからこんなにも平和でのんびりした時間は随分と久しぶりで、ついうつらうつらと船を漕いでいるとぽんっと軽い音を立てて私の胡座の上に着地したこんのすけ。

「お休みのところ失礼します、鶴丸様」

そして冒頭に戻る。

「現世に遡行軍が現れたのかい」

「いえ、今回の任務は帰省する主様の護衛任務です」

「帰省？」

え、帰れるの？審神者ってわりと極秘扱いだったのでは。てっきり戦績上位でもなけりゃ簡単に帰れないものとばかり思ってた。

「戦争初期の頃はそうだったんですが……その、政府でもいろいろ変革がありまして。運営が安定した頃にとりあえず一度は帰れるんです。護衛は打刀以上から一振り、脇差以下から一振り選出します」

なるほど察し。大方、当時の不満を溜めた審神者たちによる一揆かボイコットでもあったんだろう。

「とはいえ審神者は法的には軍人に属し、刀剣男士は兵器に分類されます。審神者さまのご家族にも詳しい業務内容と刀剣男士の存在は秘匿していただかなくてはなりませんが」

「現世には顕現を解いた刀の状態で？」

「人間を装っていただきます」

「容姿ですでに無理がある」

「個性で押し通してください」

「雑すぎないか！？」

顔面偏差値はもちろんだがなにより人間としてありえない色彩してる奴が多数派なんだが！
ガチで現世に溶け込めるのなんてかなり頑張って御手杵くらいだろ。うち居ないけど。

「いいですか鶴丸様。ぶっちゃけ容姿なんて今のご時世整形やら染色やらカラコンやらでなんとでも変えられるんです！主様だって毎朝頑張って二重にしてるんですよ！」

こんのすけそれ言っちゃダメな奴。乙女のすっぴんと体重は秘匿事項です。

「それよりも！！」

あっはい。

「いかに刀剣男士さまが現世で問題を起こさないかが重要なのです！」

コンッとこんのすけが一鳴きすると、私の手に分厚い冊子が出現した。表紙にはゴシック体でデカデカと

『ばぶちゃんから始める人間社会入門編』

「いやタイトル」

「なかなか好評です」

「嘘だろ」

「さあ開いて！」

謎の気迫に押されて、とりあえず言われた通りに開いてみた。

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