練度95 ページ48
政府の一室で山姥切と主、それから私は監査官に向き合っていた。
監査官はあの日の加州と男性役人だ。
「では確認します。本日この後に鯰尾藤四郎の本丸へ突入。その際にそちらの本丸の代表として鶴丸国永が同行し、引き継ぎ希望の鯰尾の様子を見つつ報告をする、ということでよろしいですね？」
「はい」
別に同行の義務はないけど、本丸で話し合って鯰尾を引き取るのなら一振りでも彼の地獄を直接見ておくべきだということになった。
「ブラック本丸の刀剣男士を引き継ぐというのは想像以上に難しい問題です。ベテランすら失敗し、結果的に自壊させてしまうことすらありますが、覚悟はありますか？」
「はい。本丸の刀剣男士とも話し合い、全員が協力すると言ってくれました。私も、審神者として鯰尾藤四郎と向き合いたいと思っています」
威圧感を滲ませた役人に、主は拳で恐怖を握り潰しながらも真っ直ぐに答えた。
「なるほど。審神者として、と仰いましたがあなたのいう審神者の役目とは？」
主が私をチラリと見上げた。
そうだね。あの時の問答の答えを、私もまだ聞いていなかった。
「審神者の役目は……『刀剣男士と向き合い理解し、主として務めること』だと思います……えっと、上手く言葉に出来ないんですが」
途中で自信が無くなってしまったのか声が小さくなる主に監査部の男は片眉を上げ、加州は挑発的に笑んだ。
「良いんじゃない？少なくとも答えられただけ俺的には及第点」
「ハードル低くないか？」
「そ？確かに頼りないけど言葉に出来ないってだけで分かってればいいでしょ。____でも、体現出来なけりゃ意味ないからね」
「はい！頑張ります！」
ギリギリとはいえ、合格を貰えたらしい。
私としても、主の出した答えには満足だ。
大人としても審神者としてもまだまだ未熟だから、その答えをどこまで実行出来るかはこれから見届けることになるだろう。
まあ、その点で言えば一つ懸念があって、難しいのはもしかしたら鯰尾よりも………。
「それじゃ鶴丸さん行こう。基本的には俺たちに同行してもらうから」
「ああ、了解した」
「気をつけて」
あの夜から数日。
少しずつ本丸と交流し始めた鯰尾だけれど、まだ己のうちにある自責に雁字搦めにされ溺れている。
この先にある本丸の終焉が、そんな彼を救う一手になることを祈って、私は監査部の突入部隊と共にゲートを潜った。
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水月鏡像(プロフ) - 私、鶴さん大好きなんですよね！鶴さんって無邪気な真っ白びっくり爺の面と狡猾な平安刀、傲慢な神としての面が混ざり合ってできているのでそこが魅力なんですよね〜〜！ちなみに、白髪キャラってのも好きなんですよ！好きの宝石箱っすね。 (2020年12月16日 20時) (
レス) id: e9ae4c526b (このIDを非表示/違反報告)
イマツギ(プロフ) - 早く続きが見たいですね！更新頑張ってください！ (2020年12月16日 20時) (レス) id: e522761e6b (このIDを非表示/違反報告)
水中花 - すっごい面白かったです〜！！続きが楽しみです。 更新頑張ってください！ (2020年11月6日 21時) (レス) id: 06b16b9783 (このIDを非表示/違反報告)
桜華(プロフ) - 次はどんな展開になるんだ！とわくわくしながら読んでおります。 (2020年10月31日 16時) (レス) id: f1fabf8b23 (このIDを非表示/違反報告)
mokohu(プロフ) - コアさん» 推しの鶴丸褒めてもらうのとても嬉しい！更新スピード落ちてるけどゆったりお楽しみを (2020年10月30日 15時) (レス) id: 2e4fc5a96b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：mokohu | 作者ホームページ：http://nanos.jp/atlant2d/
作成日時：2020年8月23日 14時
