練度91 ページ44
私の部屋にはよく鶯丸が入り浸るので、わりと殺風景な部屋なのに電気ポットと茶飲みセットは完備されている。
茶葉に至っては下手すると厨や彼自身の部屋よりも充実してる。
多分何も知らない人が見たらこの部屋の主は鶯丸かな?と思うだろう。残念、鶴丸国永だ。
そんなわけで妙に茶に関して上手く詳しくなってしまった。
備え置きの中からお高めの玉露を選び、ポットの湯を急須から湯飲みに移して適温に調節してから急須に戻す。
静かに待って、最後の一滴まで大切に注いだ。
リラックス作用の高い茶と煎れ方だ。
私と、それから一挙一動を目で追っていた鯰尾の前に湯飲みを置いてコクリと一口。うん、上手くできた。
鯰尾も習うように飲み、ほっと息を吐く。
「あの、」
急かす必要は無いとゆっくり茶を飲み、続く沈黙に若干眠くなって来た頃小さく溢れた鯰尾の声にうん?と穏やかな口調で返した。
「骨喰から、俺の本丸のこと貴方がなんとかしてくれたって聞いて」
「申し訳ないが俺は監査部に掛け合っただけだ。信用できる存在ではあるが、まだ解決出来たわけではないし、もう少し時間がかかると思う」
「それでも、ほとんど諦めてたから、ありがとう、ございます」
こうして彼と向き合うのは初めてだが、やはり見かける他所の本丸の鯰尾藤四郎より小さい。身長の話ではなく、受ける印象が。無理もないけど。
「君の本丸の仲間が心配かい?」
「……分からない」
「答えたくなかったら答えなくていい。俺が怖いか?鶯丸は怖いか?」
「……貴方達が怖いんじゃない。俺が悪い」
根が深いなぁ。さてどこまで踏み込むべきか。踏み込ませてくれるか。
「君は君の主をどう思う」
「死ねばいい!!」
うわッ驚いた。けど深夜なのでお静かに……と落ち着かせる。触れると怖がらせそうなので呼吸を穏やかに、鯰尾にも伝わるように。
審神者は恨んでるか……そうだろうな。
「君の、本丸の刀剣男士は?」
この質問に鯰尾は沈黙で返した。黙秘というより、なんと答えたらいいか分からないという感じだ。
「兄弟達のことは好きか?」
これにも沈黙。予想外だ。
前田からはなんと私の言葉通り「みんなでお茶会」を開いたそうで、鯰尾も巻き込んだと聞いた。
ちなみに私がみんなと言ったのは薬研も混ぜて、という意味だった。
言葉足らずな私が悪かったけど、上手くいったと嬉しそうだったので結果オーライと思ってたのだけど。
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水月鏡像(プロフ) - 私、鶴さん大好きなんですよね!鶴さんって無邪気な真っ白びっくり爺の面と狡猾な平安刀、傲慢な神としての面が混ざり合ってできているのでそこが魅力なんですよね〜〜!ちなみに、白髪キャラってのも好きなんですよ!好きの宝石箱っすね。 (2020年12月16日 20時) (レス) id: e9ae4c526b (このIDを非表示/違反報告)
イマツギ(プロフ) - 早く続きが見たいですね!更新頑張ってください! (2020年12月16日 20時) (レス) id: e522761e6b (このIDを非表示/違反報告)
水中花 - すっごい面白かったです〜!!続きが楽しみです。 更新頑張ってください! (2020年11月6日 21時) (レス) id: 06b16b9783 (このIDを非表示/違反報告)
桜華(プロフ) - 次はどんな展開になるんだ!とわくわくしながら読んでおります。 (2020年10月31日 16時) (レス) id: f1fabf8b23 (このIDを非表示/違反報告)
mokohu(プロフ) - コアさん» 推しの鶴丸褒めてもらうのとても嬉しい!更新スピード落ちてるけどゆったりお楽しみを (2020年10月30日 15時) (レス) id: 2e4fc5a96b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mokohu | 作者ホームページ:http://nanos.jp/atlant2d/
作成日時:2020年8月23日 14時