ミニサイズは普通サイズ ページ33
久しぶりに現世に戻ってきた。
目的は今目の前にあるシロノワを食べるため。
山姥切長義の期待に応えなくてはと本場の味を確かめにきたのだ。
……まあ、本当ならノーマルのを頼むべきところを季節限定という言葉に釣られてついブルーベリーのを頼んでしまったけれど。
限定とか特売とかって言葉に弱いんだ。
まさか転がったブルーベリーで忘れていた彼のことを思い出すとは思わなかった。
というか彼、長義くん、どうしよう。
完全に初対面の反応をしてしまったし、殺しちゃおうか的な事も考えた。罪悪感が凄い。
いや待てよ？山姥切は山姥切でも刀剣男士なら私と出会った当人ではない可能性がワンチャン……いや無いわ。
過去に出会った山姥切長義が店に来る彼本人ならば、私の瞳の色を知ってたのも、私の張った結界を難なく超えられるのも説明が付いてしまう。
別れの日。
彼が無事に仲間の元へ戻れるように、そして幸せになれるように瑠璃の宝石に私の力を注いでお守りとして餞別に渡したのだ。
私にとってはもう1000年近く前の事だけど、彼にとってはおそらくまだ一年も経っていない出来事だ。
あのお守りを所持していてもおかしくはない。
私の力が宿る物を所持しているのなら、もれなく私の翼下認定。結界に引っかかるはずもない。
従業員の子が山姥切長義から私の力を感じると言っていたのはソレだろう。
「確実にご本人じゃないのよ」
しかも絶対に私に会いに来てたじゃん。
申し訳なさで沈む。
初めての翼下の子を普通忘れないよね。そうです私がポンコツです。
けれど、嗚呼。
「良かった……ちゃんと生きてた……っ」
心配してた。思うだけで何もできなかったけれど、途中で力尽きてないか、殺されてないか、また主に否定されて魂を傷付けるようなことになってないか。
心配してたのだ。だってたった数日だったとしても、私の可愛い翼下の子。
いつの頃からか重ねる月日の中で忘れてしまっていても、それは変わらない。
アイスとソースを吸ったデニッシュを食む。
甘みと酸味がバランス良く調和している至福の味。
最後の一口までしっかり味わって頷いた。
コーヒーで口内の後味をリセット。
「すみません、追加注文お願いします」
二個目はちょっと苦しいしけど、やっぱり作ってあげるとすればノーマルタイプだろう。
あれだけ期待されたんだ。忠実に作ってあげたいじゃないか。
思い出したことを告げるのも、忘れていたことを謝るのも、まずはそれからだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 348人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「転生」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
翡翠琥珀@カリナと咲(プロフ) - ァ"ァ"ァ"好きぃ... (2022年3月31日 15時) (
レス) @page42 id: cceed3ce75 (このIDを非表示/違反報告)
mokohu(プロフ) - 返事がない只の屍のようだ。さん» ちょぎくんの布教が出来て嬉しいです！沼へようこそ。 (2021年3月5日 16時) (レス) id: 2e4fc5a96b (このIDを非表示/違反報告)
mokohu(プロフ) - sesiroさん» ありがとうございます。成り鶴もよろしくお願いします (2021年3月5日 16時) (レス) id: 2e4fc5a96b (このIDを非表示/違反報告)
mokohu(プロフ) - まるさん» ありがとうございます (2021年3月5日 16時) (レス) id: 2e4fc5a96b (このIDを非表示/違反報告)
返事がない只の屍のようだ。 - はじめまして！そして完結おめでとうございます！！大好きです！！！終わってしまい寂しいですがちょぎ君、思い出して貰えて良かったねﾞぇ〜！(T△T)ｽﾞﾋﾞｨ この小説を切っ掛けでちょぎ君にハマりました！ありがとうございます！！(謎)これからも頑張って下さい！ (2021年3月5日 12時) (レス) id: 2157a47614 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：mokohu | 作者ホームページ：http://nanos.jp/atlant2d/
作成日時：2020年12月5日 14時
