特技を打ち破られるとへこむ ページ10
それはいつも店仕舞いもそろそろかという時間にやって来る。
「やあ」
耳慣れたベルの音と共に聞こえた声はここ一ヶ月で慣れてしまった新規常連のもの。
その名を山姥切長義。
「いらっしゃいませ！」
ペカっと輝く100点満点な接客をする秋田に微笑み、慣れたようにカウンター席へ腰を下ろした。
＊
「また来る」と言った初来店から彼が次に来たのはそれからわずか三日後だった。
すでに情報を共有してあった秋田含め翼下一同はすぐさま避難態勢に入ったのだが、当の本刃はニコニコとご機嫌に軽食を頼み、デザートまで平らげて1時間ほど寛いだと思えば何もせず普通に代金を支払って帰っていった。
「普通にお茶して帰ったんですけど」
「嘘でしょ？強化した私の結界を難なく……」
それからというものの、彼は週３ほどの頻度で来店する。決まって他の客のいなくなった頃に、カウンター席に座る。
ひたすら話しかけてくることもあれば、ただ静かに食事を味わうこともあるし、文庫本を持ち込んだり、在庫処分で置いてある万屋スペースを覗いたこともあった。
未だに占いを頼まれたことがないのが逆に不思議。
常連にもなれば興味なくても一度やってみせてくれと言われるものだけど、あまり信じないタイプなのかな、別にいいけど。
別に、いいけど。
ちょっと悔しくなんてない。ないったらない。
彼はいつもただ穏やかに、他の客と同じようにこの店を堪能していた。
敵意や害意は微塵も感じられない。
「いただきます」「ご馳走様」「美味しかった」「ありがとう」
むしろそうして普通の客より言葉を尽くして感謝を伝えてきてくれる。
一度だけタイミング悪く私と秋田が席を外している時に純正妖怪である従業員が対応したことがあったけれど五体満足。むしろ接客スキルを褒められてすらいた。
しまいにはこちらを気遣ってるのか本体たる刀を右手側に立てかける始末。
そんな様子でここまでされればみんな慣れるもので、今では普通に接客しているし、なんなら褒め上手な彼に好意的ですらいる。
君たち妖怪よ訳ありよ、それでいいのか？と思わなくはないけど、むしろその言葉をぶつけたいのは山姥切長義へである。
いつまで見逃し続けるつもりだろうか。
藪突いてヘビ出したくないのでそっとするしかないのだけれど。
そのせいで何故私の目の色を知ってるのかもまだ聞けてない。
あれ以来、彼自身もその話題を出そうとはしないから余計に聞きづらくなってしまっていた。
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翡翠琥珀@カリナと咲(プロフ) - ァ"ァ"ァ"好きぃ... (2022年3月31日 15時) (
レス) @page42 id: cceed3ce75 (このIDを非表示/違反報告)
mokohu(プロフ) - 返事がない只の屍のようだ。さん» ちょぎくんの布教が出来て嬉しいです！沼へようこそ。 (2021年3月5日 16時) (レス) id: 2e4fc5a96b (このIDを非表示/違反報告)
mokohu(プロフ) - sesiroさん» ありがとうございます。成り鶴もよろしくお願いします (2021年3月5日 16時) (レス) id: 2e4fc5a96b (このIDを非表示/違反報告)
mokohu(プロフ) - まるさん» ありがとうございます (2021年3月5日 16時) (レス) id: 2e4fc5a96b (このIDを非表示/違反報告)
返事がない只の屍のようだ。 - はじめまして！そして完結おめでとうございます！！大好きです！！！終わってしまい寂しいですがちょぎ君、思い出して貰えて良かったねﾞぇ〜！(T△T)ｽﾞﾋﾞｨ この小説を切っ掛けでちょぎ君にハマりました！ありがとうございます！！(謎)これからも頑張って下さい！ (2021年3月5日 12時) (レス) id: 2157a47614 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：mokohu | 作者ホームページ：http://nanos.jp/atlant2d/
作成日時：2020年12月5日 14時
