【刀剣乱舞】成り代わり鶴が本丸で奮闘する話

練度45 ページ45

「……長物が欲しい」

ある日ポツリと主が溢した発言に、その場にいた者たちは固まった。

この本丸には未だに太刀が二振りしかいない。
レアに至っては私だけだ。顕現し辛いとは聞いていたが、主の鍛刀運を持ってしても1:30の呪いというのは存在した。
ちなみにほとんど山姥切国広。

よほど相性がいいらしい。

そういう意味では初期刀選びは成功してるのかもしれなかった。
私が来るまでヤバかったけど。

この間50本目が来た時、本人は俺が写しだからか……！？とお決まりのセリフを吐きながら崩れ落ちたかと思えば物欲を捨てるとかなんとか言いながら山籠りに行った。

彼は最近卑屈系刀剣から脳筋堀川派に進化しつつある。いいんだか悪いんだか。

話が逸れた。

つまり何が言いたいかと言うと、この本丸は火力、耐久が足りないということだ。

出やすいはずの燭台切や山伏が来ないとはこれいかに？

元太刀勢は太刀よりのステータスだから良いが、たしかにそろそろ大太刀以上が欲しいところだ。

個人的には大太刀より大器晩成の槍が早めに欲しいところ。

ただ顕現するかうんぬんの前に立ちはだかる問題があった。

ずばり主である。

最近は異性…というか刀剣男士にも慣れ始めてはいる。が、やはり背の高い相手は苦手らしく一番高身長な和泉守なんか廊下でエンカウントして泣かれたことがある。

顕現初夜の私が思い出された。一歩間違えばああなっていたのか…と過去の私のファインプレーにいまさらだが拍手を送りたい。

それもなんやかんやで皆の苦労あり解決したが、和泉守でソレだったのだ。蛍丸を除き、大太刀以上は最低でも石切丸の大きさだ。

どう考えても主の精神が詰む。そしてその相手も和泉守の二の舞の気配しかしない。

全員がその結論に達したようでアイコンタクトが飛び交う。
お前が言えよ、という押し付け合いなのだが。

「主にはその、まだ早いんじゃないのか」

結局、初期刀という立場を背負う山姥切が重たい口を開いた。
が、その言い方では言いたいことは伝わらないでしょうが口下手め！主が大太刀以上を扱いきれる器じゃないとも取れる発言にヒヤリとする。口籠もってるから余計にだ。

「まだ大きい人怖いよね」

すかさず小夜がフォローする。ナイスコンビネーション。混ぜなかったら危険な二人。
視界の隅で流石お小夜！と言わんばかりの歌仙は主の影響か人見知り強めの個体だ。

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