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空になった夕食の皿が
淡い水の音と共に
泡に包まれていく。
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春とはいえ
まだどこか寒い季節の香を残した
冷たい水が
私の手の温度を、奪っていく。
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でもそんな冷たささえも
愛しいと思えるのは
数時間前、
あの女を送り終えたお兄ちゃんが
すぐ近くでこっちを見て微笑んでいるからだ。
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A「…大丈夫だった？」
和「ん？」
A「リエさん」
和「ああ…、アイツ1人暮らしだし、
大した仕事じゃなかったよ」
A「そう、…よかった」
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和「Aは？仕事、どうだった？
いつも通り？」
A「うん。
あ、でもね、私
もしかしたら近々
昇進できちゃったりするかも」
和「本当かよ、？」
A「うん、課長さんからのお声がけがあって」
和「できんのお前？(笑)」
A「意外とデキる女なのよ、私」
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洗い物を終えて手を拭き
お兄ちゃんの座るソファーに向かって歩きながら
得意げにそう言った私を
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お兄ちゃんが
「どうだか」
って、笑う。
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きっと
どこの家の兄妹も
こんな会話をするのだろう。
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少し尖った口調の中に見える
信頼の色。
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お互いを心配し合う
思いやりと家族愛。
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当たり前のように毎日交わされる
他愛ない言葉。
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仲のいい『家族』の会話。
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だけど
私たちのそんな“家族の会話”には
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誰も知らない
誰にも知られてはいけない
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棘がある――。
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芽愛(プロフ) - 真衣さん» 真衣さん、はじめまして！閲覧、コメントありがとうございます。綺麗な技巧だなんてとんでもない（汗）お気に入り、とっても光栄に思います。是非これからも時々思い出して読んでいただけたらと思います！ (2015年5月2日 17時) (
レス) id: 916e75307c (このIDを非表示/違反報告)
芽愛(プロフ) - みやびさん» 返信がとっても遅くなり申し訳ありませんでした。ありがとうございます！ふたりの愛の貫き方は本当に儚いですね、、、。素敵と言っていただけて光栄です。このお話がみやびさんの心に少しでも残っていれば嬉しく思います。ありがとうございました！ (2015年5月2日 17時) (レス) id: 916e75307c (このIDを非表示/違反報告)
真衣(プロフ) - はじめまして。読ませていただきました。とっても綺麗な技巧で感動しました！お気に入りさせていただきます。 (2015年4月10日 17時) (レス) id: 0b2d9ea3a2 (このIDを非表示/違反報告)
みやび(プロフ) - すごく美しいお話でした。とても感動しました。許されないとわかっていながらも、その愛に見て見ぬ振りなどできない。ならば二人で生きよう。なんて哀しくてなんて美しいのだろうと思いました。一気に惹きつけられました。素敵なお話本当にありがとうございました。 (2015年4月10日 0時) (レス) id: 65cb4a82e9 (このIDを非表示/違反報告)
芽愛(プロフ) - ニノミンさん» ニノミンさん、初めまして！ご感想ありがとうございます(*/∀＼*) そう言っていただけてとっても幸せです！葉をつけることなく花を咲かせる『桜』。改めて考えてみると美しく、どこか悲しい気もします。春って不思議ですよね。時々思い出してやってください(bﾟv`*) (2015年4月6日 21時) (レス) id: f029414435 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：芽愛
| 作者ホームページ：http://ameblo.jp/mokomoko9/
作成日時：2015年4月1日 18時
