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夜道には気をつけた、異能者を見つけ出してグーパンしてやろうと思った。
人気のないところにも行かないようにした、異能者が小指を強打するように呪いをかけようと思った。







『油断した、子どもの姿になるなんて下衆な事を』







金魚鉢のような水槽の中、下半身が魚となったAは両手につけられた枷を見て舌打ちをする。
遡ること数時間前、Aは罠にはめられた。
社員寮に帰る途中、泣いている子どもを見つけ、咄嗟に声をかけてしまった。
が、それこそが罠であった。
その子どもこそ、件の異能者で、姿を変えていたのだ。







『そして殴られて気づいたらこんなところに…』








気づくと、水槽に入れられていた。
外は暗幕がかけられていて見えない。
かなり分厚い硝子のようで、殴ってもヒビひとつ入らない。







『多分乱歩さんあたりが気づいているか…あぁ、門限までに帰らなかったから太宰さんも気づいてるな』






十八にもなって門限があるのはどうかと思うが、恐らく太宰は気づいている。







『大丈夫、君がどこにいても私が君を見つけてあげるから』







いつだったか、そんな事を太宰から云われたことがある。







『守られるほど手前が弱くねぇのは知ってる、だがな、少しくらい肩の力抜いてもバチは当たらねぇよ』







これは中也から云われた言葉だ。
なぜ今そんな事を思い出したのだろう。







「それでは皆様!本日の目玉のお披露目でございます!!」







マイクで響かせたような声が聞こえた瞬間、水槽が揺れ、何処かへと運ばれる。








『恐らくオークション会場か…あぁ、吐き気がする』







ガタリと音を立てて止まると、黒い幕がバサリと剥がされた。
眩い光と共に、煩いほどの雑音が耳に突き刺さる。







「雪のような肌!闇のような髪!林檎のような唇!
そして紫水晶の瞳を持った正真正銘、人魚の乙女でございます!」








オークション会場には、仮面をつけた者達がいた。
彼らは皆、人魚という存在に驚き、そして歪な目を向けてきた。







「それでは!百万からのスタートです!」








その瞬間、我先にと競うように値段が跳ね上がる。
異常な光景に嫌悪感を抱いた。
するとそんな中、一人の客に目がいく。







「あ」








仮面をしていても判る。







「め、滅茶苦茶怒ってる…」








腕組みをし、口元に笑みを貼り付けながらも滅茶苦茶にキレた太宰がそこには居た。

*→←人魚姫なんて似合わない [夜猫様リクエスト]



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もこすけ(プロフ) - あっきーさん» 嬉しいコメントありがとうございます。人狼ゲーム、書いていても楽しかったです。考えるのはなかなか大変でしたが、喜んでいただけて良かったです。これからも応援よろしくお願いします。 (2019年11月26日 23時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
あっきー - 人狼シリーズ大好きです!本当に天才だと思います!!これからも楽しみにしています! (2019年11月25日 17時) (レス) id: d54700ef05 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - そー氏。さん» ご質問ありがとうございました。本当ですね、たった今気づきました。ありがとうございます。これからもこの作品を、よろしくお願いします。 (2019年11月3日 9時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
そー氏。(プロフ) - 返答ありがとうございました。いつもこの作品応援しています。ちなみにタイトルが「この十六」になってますよ「その十六」じゃありませんか? (2019年11月3日 9時) (レス) id: 15750ac93c (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - そー氏。さん» ご質問ありがとうございます。小泉は、普段は髪で隠れて見えませんが、首筋にホクロがあります。基本、見えるところにはありません。ちなみに母親の雪も同じです。 (2019年11月3日 9時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もこすけ | 作成日時:2019年8月17日 20時

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