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吸血鬼になった。
それを聞いたAは、唖然とし、そして。






「ははっご冗談を」







珍しく笑った。
与謝野は思った、コイツ嘘ついてると思っている、と。







「いや、ガチだよ」








「私、ファンタジーは信じない主義でして」







「成る程、だからアンタ、妖怪とかモンスターが出てくる映画見ないんだね」







「吸血鬼なんて非現実的です」







「異能もあるんだから吸血鬼もいるんだよ」








その会話は暫く続いたが、与謝野があぁもう!と叫んで鏡を差し出した。
なんだと思い、覗き込むとそこには、







「なにも、写ってない…!?」







本来なら顔が映るはずなのに、なにも無かった。
血の気が引いていく感覚がした。







「吸血鬼はね、鏡に姿が映らないんだ。
それに、ちょっと歯を触ってごらん」






与謝野の云う通り、歯に触れてみる。
すると、指先に痛みが走った。







「なんですか、これ…」








「牙だよ、吸血鬼にあるやつだ」







尖った歯によって、指が簡単に切れた。
指先に浮かぶ血を見て、漸く事態を把握する。








「吸血鬼騒ぎは、異能者によるものだったんですね」







「理解が早くて助かるよ。
…アレはウイルス系の異能だ。
吸血鬼の異能者にウイルスを植えつけられると吸血鬼になる。
どうやら、その被害者が人を襲っていたらしい」








「…犯人は」








「特務課が代わりに探してる。事態が事態だからね」







「…治りますか」







「…それは判らない。でも、必ず見つけ出すから心配しなさんな」









カーテンが閉められているのは、日光により灰になるから。
Aは頭痛すら感じる事態に、頭を押さえた。







「…とりあえず、コレ飲みな」







「…輸血パックに見えるんですけど気のせいですか?」







「輸血パックだよ」








「何故」








「食事に決まってるだろう。ちなみにO型の血液だ」







「血液型云々の話じゃないです」








「飲みな」








渡された輸血パックがタプンと揺れる。








「…本当に吸血鬼になったみたいですね」







喉が焼けるように渇いて仕方ない。
Aは輸血パックにストローを刺し、躊躇いがちにゴクリと飲んだ。
そして、







「与謝野先生」








「なンだい」








「…滅茶苦茶まずいです」









「…え?」








感じたのは、とてつもない不味さだった。

*→←月の下で肌に歯を立てて[夜猫様リクエスト]



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もこすけ(プロフ) - あっきーさん» 嬉しいコメントありがとうございます。人狼ゲーム、書いていても楽しかったです。考えるのはなかなか大変でしたが、喜んでいただけて良かったです。これからも応援よろしくお願いします。 (2019年11月26日 23時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
あっきー - 人狼シリーズ大好きです!本当に天才だと思います!!これからも楽しみにしています! (2019年11月25日 17時) (レス) id: d54700ef05 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - そー氏。さん» ご質問ありがとうございました。本当ですね、たった今気づきました。ありがとうございます。これからもこの作品を、よろしくお願いします。 (2019年11月3日 9時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
そー氏。(プロフ) - 返答ありがとうございました。いつもこの作品応援しています。ちなみにタイトルが「この十六」になってますよ「その十六」じゃありませんか? (2019年11月3日 9時) (レス) id: 15750ac93c (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - そー氏。さん» ご質問ありがとうございます。小泉は、普段は髪で隠れて見えませんが、首筋にホクロがあります。基本、見えるところにはありません。ちなみに母親の雪も同じです。 (2019年11月3日 9時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もこすけ | 作成日時:2019年8月17日 20時

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