取り合うことはよくあること [ささみ様リクエスト] ページ44
「ちょっと!その手を離してくれないかい!?」
「はぁ?君が離せばいいじゃないか!」
二人の少年少女が、その美しい見た目に似合わない怒声を挙げる。
一人は綺麗なチョコレート色の髪に、青紫色の瞳をした少年。
一人は柔らかなくせ毛に、紫色の瞳が美しい少女。
「母さんから手ぇ離してくれない!重力で押し潰すぞ!」
「ハッ!上等だよ!私の無効化ナメないでくれる!?」
「ちょっ、千切れる…」
二人の男女は、一人の少女を取り合っていた。
真ん中にいる少女は、苦悶の表情を浮かべ、両手を二人に引っ張られていた。
「母さんが痛がってるじゃん!」
「お母様から離れてよ莫迦力!」
「判った、判ったから取り敢えず手を…」
「「母さん/お母様はどっちが好き!?」」
「…取り敢えず、まだ母親っていう年齢じゃない…」
Aはギリギリ音を立てる手に、冷や汗を浮かべた。
実はこの二人、別時間軸から来たAの子供にあたる少年少女なのだ。
しかも二人とも時空が違い、少年は中也、少女は太宰が父親らしい。
この時点で昼ドラも真っ青の展開である。
しかもこの二人、会うや否やAを取り合って大げんかを始めた。
「レディファーストって言葉知らないのかい!?」
「しーりーまーせーん!父さんは『欲しけりゃ実力で奪え』って云ってたもんね!」
「はぁぁ?ところでなんなのその巫山戯た帽子!」
「はぁぁ?じゃあ君はなんなのその包帯!!」
「「お洒落に決まってるだろう!!」」
まさに太宰と中也のような口論だった。
本当にそれにしか見えない。
「お母様は、私とお出かけするの!」
「母さんは俺とデートするんだよ!」
「なにさこの莫迦男!」
「なんだよこの莫迦女!」
「ちょっと静かに…
「「母さん/お母様は黙ってて!!」」
こんな時に息ぴったりなのも似ている。
Aは両手を引きちぎられそうななりながら、空を見上げた。
『あぁ、今日も空が青い…』
現実逃避しながら、Aはボーッと考えた。
『子育てって…大変なんだなぁ…』
青い空の中、天国なのか地獄なのか判らないが、
母がオホホと笑い、父が親指を立てながら笑ったような気がした。
多分、疲れからくる気のせいだ。
解放されるまで二時間かかったそうな。
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もこすけ(プロフ) - anonimas594さん» 恥ずかしさが上回り、凶暴化する小泉なのでした。ご質問ありがとうございました。 (2019年12月22日 19時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
anonimas594(プロフ) - なるほど可愛らしいところもあるけどそれ故に凶暴なんですね!返答ありがとうございました。 (2019年12月22日 18時) (レス) id: ae39e9e256 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - anonimas594さん» コメントありがとうございます。はい、ききます。ですが本人も理解しているので近づかれた瞬間相手は宙を舞うでしょう。あと場合によっては殴られるので誰も小泉にやろうとしません。 (2019年12月22日 15時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
anonimas594(プロフ) - コメント失礼します!ものすごく気になったことなので質問します。小泉ちゃんって脇腹ききますか?! (2019年12月22日 13時) (レス) id: ae39e9e256 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - 姫歌さん» ありがとうございます。私もとても楽しかったです。またコラボしましょう。ありがとうございました! (2019年8月17日 20時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もこすけ | 作成日時:2019年6月16日 20時