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コナンは、自分の速度に合わせて歩く女性を横目でチラリと見る。
短い髪は黒々としていて、長ければさぞや美しいのだろうと思わせる。
新雪のように白い肌の中、真っ赤な唇が扇情的だった。
特に目をひくのは、意志の強そうな紫色の瞳。






「お姉さんって、いくつ?」







「梅雨生まれの十八歳」








「じゅ…えぇ!?」







蘭とほぼ同い年とはとても思えない。
大人びている、というより大人にしか見えないのだ。






「君は」







「僕?僕は…秘密!」







子供らしい笑顔を向ければ、Aは目を細めた。







「…成る程」








何かに気づいたように、唇がそう嘯いた。
コナンの心臓がドキリと跳ねた。







「行きたいところ、着いたよ」







「え、あ!」








気づけば、ヨコハマの図書館についていた。
Aはコナンをそこに押し込むように送り届けると、






「帰りはタクシーを使って、早めに帰りなさい」








踵を返し、Aはスタスタと人混みの間をくぐり抜け、
薄暗い路地へと進んでいった。







「…別にあの子は怪しくは無い」








誰もいない筈の空間に、Aの声が響く。







「"ただの子供一人"を、疑いすぎでは?」








「…首領は、そうはお考えではありません」








誰もいない筈の向かいから、初老の男性が歩いてきた。
紳士のような風貌の彼は"魔女と瓜二つと噂される"Aの顔を見つめ、こう返す。






「探偵社も、気をつけよと…それだけを伝えに来ました」







「…ご心配ありがとうございます」







主人の言葉を届けた男、広津に礼をする。
彼はそれだけを伝えると、一瞬目を離した隙に消えてしまった。






「…心配しなくとも、あの子が"普通の子供"でないことくらい知ってる」







Aはため息をついて、肩の力を抜いた。
そして、いきなり方向を変えて路地の一角の方を向く。






「お久しぶりですね」








あくまで平坦に、声色を変えず。
"まずい現場を見られた"などとは思わせず、
Aは暗闇に溶け込むようにして立っていた男の方を向いた。






「先日お会いした、ポアロの店員さんですよね」







「…お久しぶりです」







甘いミルクティー色の髪と、美しい顔立ち。
ポアロの店員、安室は何処か固い表情でそこに居た。






『さて、どうしようか』







Aはふと、今日の運勢が最悪だったことを思い出した。

*→←名探偵と公安、エンカウント [夏羽様リクエスト]



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もこすけ(プロフ) - anonimas594さん» 恥ずかしさが上回り、凶暴化する小泉なのでした。ご質問ありがとうございました。 (2019年12月22日 19時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
anonimas594(プロフ) - なるほど可愛らしいところもあるけどそれ故に凶暴なんですね!返答ありがとうございました。 (2019年12月22日 18時) (レス) id: ae39e9e256 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - anonimas594さん» コメントありがとうございます。はい、ききます。ですが本人も理解しているので近づかれた瞬間相手は宙を舞うでしょう。あと場合によっては殴られるので誰も小泉にやろうとしません。 (2019年12月22日 15時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
anonimas594(プロフ) - コメント失礼します!ものすごく気になったことなので質問します。小泉ちゃんって脇腹ききますか?! (2019年12月22日 13時) (レス) id: ae39e9e256 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - 姫歌さん» ありがとうございます。私もとても楽しかったです。またコラボしましょう。ありがとうございました! (2019年8月17日 20時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もこすけ | 作成日時:2019年6月16日 20時

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