【文スト】この世界で生きるのは不可能という結論が出ました 7

二百七十八話 ［魔女の独白］ ページ30

あぁ、あぁ、判っているのです。



「これは仕方のないことであると」



生まれてしまった罪であると。



「ただ運が無かっただけ、悲劇と呼ぶなど烏滸がましい」



知っております、知っているのです。



「それでもッ…！」



私が全て悪いのですね、知っております。



「本当に…私一人が悪いのですか…？」



皆が私を蔑み、私を責め立てるのです。
全てが私の敵であり、私の全てなのです。



「あぁ、あぁ、神様は私がお嫌いなのですか」



何故こんな運命を与えるのですか。
何故こんな歪なものに命を与えたのですか。
何故こんな、地を這うだけの惨めなものを人としたのですか。



「こんな化け物に成り果てるくらいなら生きたくなど無かった！！」



号哭だった。
心からの、血を流しすぎて痛みを忘れかけた心からの叫びだった。
踏み潰され、気まぐれに与えられたものすら奪われ、泣いても誰も手を差し伸べない。
なんて残酷で、当たり前の世界。



「…これが"人間"の醜さ、これが…この世界の答え…」



倒れた地面に手をつき、地を抉るように爪をたてた。
脳が真っ赤な感情で満たされ、全てが憎い。



「あぁ憎い、憎たらしい、許せない」



檻に飼われていた感情が噴き出す。
飼い殺してたつもりでも、たしかに自分は化け物であった。



「化け物が温もりを求めるのはそんなにも罪なことですか？」



それだけで、生きているだけで罪。
存在そのものが大罪であり、居てはいけない存在。



「ふふっ…うふふ…あははははは！」



視界が何故か歪み、熱い液体が落ちてくる。



「あはははは！そう、そう！！それがこの世界の答え！！
それが私に与えられた運命だと云うのなら！！」



狂ったように嗤う。
もうどこが痛くて、何が辛いのかもよく判らなかった。



「私は奪ってやる、全てを…もう奪わせない為に奪ってやりましょう！！
私こそが化け物！！私こそがこの世界の罪と罰！！」



こんな人生、あぁ、これこそ。



「『恥の多い生涯を送ってきました』」



惨めで、歪んだ、人間になりきれぬ人生。



「あぁ、そうです、きっと私こそ」



"人間"になれない自分は。



「『人間、失格』」



頬を伝うものが涙だと気づいた時には、全てが手遅れだった。
化け物は既に、産声をあげていた。

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