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Aは淡々と、部屋から望める夜景を見ながらそう云った。






「親…居ねぇのか?」







「はい、父親は私が十二歳の時に亡くなってますし、母親は私が生まれて直ぐに」







「…そうなのか」








知らなかった。
話し方や動作から育ちが良さそうだとは思っていたが、
まさか両親が死んでいるとは思ってなかった。







「別に気にしてませんよ、よくある話」







Aは自分が詰められていた箱からボトルを取り出しながら口を開く。







「それを不幸だなんだと思うつもりも云われるつもりもありません」








ボトルについた水滴をタオルで拭き、キャップシールを刃先で取る。
そして専門の道具でコルクを外した。







「…そうでしょう?」







哀れみなんて許さないとでも云うように、Aは当然のようにそう云った。
美しくも力強く、決して折れようとしないその姿。
こんな姿に惚れたんだった、中也はニッと笑う。








「あぁ、そりゃお門違いってやつだな」








ワイングラスを二つ取り、Aに渡す。








「なら、誕生日の一杯付き合ってくれよ?」








コルクを外したボトルからは、上等なワインの香りがした。
おそらく、紅葉が入れたものだろう。
誕生日に惚れた相手と飲め、そう云うことだ。







「…でも私未成年なのでお断りします」







「…あ、手前まだ十八だったな忘れてたぜ」







「うわ、このワイン高い」







「まじか…うわっ、姐さん奮発したな。
つーかなんで手前ワインの銘柄なんて知ってんだよ」







「母が酒豪だったもので。父親経由で知ってます」








「ちなみに好きな酒は」







「林檎酒と…あぁ、スピリタスっていうお酒も好んでたとか」







「はぁ!?バケモンかそれ!!」








その後、そのまま自然の流れで話したり、中也にワインを注いだりしたのだが、
気づいた時にはお互い寝てしまい、目が覚めた時には朝だった。







「おえっ…飲みすぎた…頭痛ぇ…」







「……あ、太宰さんに連絡忘れてた」








携帯を見てみると、太宰から死ぬほど着信が来ていた。
後半に行くにつれて『なにがあったの』『もしかして中也のとこ?』『確認しました中也のとこだね』となっている。







「…なんで居場所知ってるの…?」








「…やべぇ」








そう呟くと同時に、インターホンが鳴り、当然のように太宰が乗り込んできて修羅場になったらしい。

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もこすけ(プロフ) - あさん» ご指摘ありがとうございます。その通りでございます。直しておきます。ありがとうございました。 (2021年11月8日 17時) (レス) id: 102f3088ed (このIDを非表示/違反報告)
- すみません、「あの娘は誰の子?」の小雪ちゃんのセリフで「私は過去から来たんだよ」と言っていますが「未来」の間違いではないでしょうか私の勘違いや解釈違いであったら申し訳ありません (2021年11月7日 17時) (レス) @page32 id: b7271b87d8 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - ワンコソバさん» 折角のお話、申し訳ありませんでした。応援のお言葉、ありがとうございます。これからも頑張りますので、応援よろしくお願いします。 (2019年5月5日 13時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
ワンコソバ(プロフ) - そうでしたか…。残念ですが、それからのもこすけさんが書く作品を楽しみにしてます!頑張ってください!(^○^) (2019年5月4日 20時) (レス) id: c31389e4fc (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - ワンコソバさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます。そういった応援はとても嬉しいです。リクエストなのですが、現在締め切っております。他作品とのコラボも、基本的にご本人様からのリクエストのみ受け付ける形となっています。折角のお話なのに、申し訳ありません。 (2019年5月4日 18時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もこすけ | 作成日時:2019年4月6日 19時

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