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バーボンが運転する車の中で、ベルモットは静かに窓の外を見つめていた。






「…さっきの少女との関係を聞いても?」







バーボンがそう話を切り出せば、彼女は呆れたようにため息をついた。







「こういう時は聞かないでいるのが紳士だと思わないの?」







「おや、聞かれたくないのですか?」







ベルモットの睨みにもバーボンは涼しい笑顔で返す。
すると、彼女は再びため息をつくと窓の外へ視線をやる。







「知り合いに、似ていただけよ」







「知り合い?」







「…随分昔の知り合いに恐ろしく似ていたのよ。
容姿も、声も、あの瞳の色もなにもかも…生き写しのようにそっくりだった」







ベルモットの記憶の中の"あの少女"を鮮明に思い出すほど、似ていた。
だが話した時、彼女とは別人だと気づいた。
彼女とは、雪とは別人なのだと。







『まるで貴女のようだったわ、雪』







そんなはず無いのに、とベルモットは自嘲気味に笑う。
彼女はあんな表情をしない、ましてや、二十年経っているのに歳をとらないなんてあるはず無い。







『貴女は今、どこでなにをしているのかしらね』








友人とは決して呼べなかったけれど、ミステリアスで美しかった"彼女"を思い出し、ベルモットは再び悲しげに笑うのだった。









「なんだったんだ、アレ…」








安室という男の隣にいた美しい女性に詰め寄られた後、Aは雨のせいで少し濡れているベンチに座って首を傾げていた。







「人違いって…まさかね」







あの女性は人違いと云っていたが、自分に似ている人など一人しか思い浮かばない。
まさか、母親の知り合いか?
そう思い、一応とぼけてみたが正解だったようだ。







「…厄介ごとに首を突っ込む趣味も無いしな」








Aはそう呟くと、依頼先に向かおうと足を進める。
すると、いきなり携帯が鳴ったので立ち止まって耳に当てた。







「はい…は?怪盗からの予告状?
それって軍警の管轄なんじゃ…え?依頼が来た?」








Aはわずかに顔を歪めながら通話を続ける。








「怪盗キッド…確かハンググライダーで飛行するんですよね」








Aは至極当然のように、最適解を思いついた。








「撃ち落とせば良いのでは?」








あまりにも無慈悲なその内容に、彼女の後ろを通った高校生…もとい怪盗キッドはビクリと肩を揺らし、「こっわ…」と呟くのだった。

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もこすけ(プロフ) - あさん» ご指摘ありがとうございます。その通りでございます。直しておきます。ありがとうございました。 (2021年11月8日 17時) (レス) id: 102f3088ed (このIDを非表示/違反報告)
- すみません、「あの娘は誰の子?」の小雪ちゃんのセリフで「私は過去から来たんだよ」と言っていますが「未来」の間違いではないでしょうか私の勘違いや解釈違いであったら申し訳ありません (2021年11月7日 17時) (レス) @page32 id: b7271b87d8 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - ワンコソバさん» 折角のお話、申し訳ありませんでした。応援のお言葉、ありがとうございます。これからも頑張りますので、応援よろしくお願いします。 (2019年5月5日 13時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
ワンコソバ(プロフ) - そうでしたか…。残念ですが、それからのもこすけさんが書く作品を楽しみにしてます!頑張ってください!(^○^) (2019年5月4日 20時) (レス) id: c31389e4fc (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - ワンコソバさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます。そういった応援はとても嬉しいです。リクエストなのですが、現在締め切っております。他作品とのコラボも、基本的にご本人様からのリクエストのみ受け付ける形となっています。折角のお話なのに、申し訳ありません。 (2019年5月4日 18時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もこすけ | 作成日時:2019年4月6日 19時

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