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* [藤様リクエスト] ページ11

(こちらは、もし太宰が駆けつけなく、元の世界に戻れなかったらというお話です)






「…あ、起きた」







目を開けると、そこは見慣れない病室だった。
いや…過去に一度見たことがある。
中也の部下に撃たれて運び込まれたマフィアの病室だ。






「睡眠薬が効きすぎてしまったようだ」







にっこりと笑う、何処か幼げな顔の太宰に全てを思い出す。
敦達と過去に飛ばされ、敦と鏡花を逃して自分はこちらの時代の太宰に捕まったこと。
そしてもう、戻れないことも。






「睨まないでよ、綺麗な顔が台無しだ」







「眠らされて誘拐されたのに?不機嫌にならない方がおかしい」







「でも泣いたり叫んだりしないのだね。
肝が座ってるなぁ…マフィア相手にあれほど上手く立ち回り、今も決して目をそらそうとしない」







ベッドの縁に座り、太宰はAの目を見つめる。
どんな捕虜でも、太宰を前にすると目をそらしてしまうのに
この少女ときたら逸らすどころか睨みつけてくる。







「本当、面白いよ」







綺麗なだけの人間に興味などない。
気高く、強くいようとする姿に太宰は強烈に惹かれたのだ。







「…これから自分がどうなるか、聞かないのかい?」







「自由にしてくれる?そんなわけ無いでしょう」







ハッ、と莫迦にするような声でAは吐き捨てた。






「うん、私の部下にしようと思って。
それほどの作戦立案能力と落ち着きがあればマフィアでも十分生きていける」







「有難い限り……でも」








突然、Aの白い手が太宰の黒いネクタイをつかんだ。
そして、そのままベッドに押し倒し、グイッとネクタイを引き寄せ、顔を近づけた。






「絶対、何があっても元の場所に戻ってやるからお断りだ」






挑戦的に、赤い唇がそう告げた。
太宰はキョトンとし、そして吹き出すように笑い出した。






「はははッ、いいね。
君は好きなだけ抵抗すればいい、私は君も元の場所になんて帰さないから」






深雪のような白い頬に手を当て、太宰は微笑んだ。
対するAは鋭く彼を睨みつけた。







「「どっちが勝つか、勝負だ」」







似ていないようで似ている二人の、長い長い戦いの幕が上がった。
どっちが勝っても、波乱しかない戦いの。







「太宰君お邪魔す…………しました」







途中、様子を見にきた森はかつての友人に瓜二つの少女が太宰を押し倒している光景にそっと部屋を出て行くのだった。

その少女、正真正銘黒鼠 [瀬那様リクエスト]→←*



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もこすけ(プロフ) - あさん» ご指摘ありがとうございます。その通りでございます。直しておきます。ありがとうございました。 (2021年11月8日 17時) (レス) id: 102f3088ed (このIDを非表示/違反報告)
- すみません、「あの娘は誰の子?」の小雪ちゃんのセリフで「私は過去から来たんだよ」と言っていますが「未来」の間違いではないでしょうか私の勘違いや解釈違いであったら申し訳ありません (2021年11月7日 17時) (レス) @page32 id: b7271b87d8 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - ワンコソバさん» 折角のお話、申し訳ありませんでした。応援のお言葉、ありがとうございます。これからも頑張りますので、応援よろしくお願いします。 (2019年5月5日 13時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
ワンコソバ(プロフ) - そうでしたか…。残念ですが、それからのもこすけさんが書く作品を楽しみにしてます!頑張ってください!(^○^) (2019年5月4日 20時) (レス) id: c31389e4fc (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - ワンコソバさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます。そういった応援はとても嬉しいです。リクエストなのですが、現在締め切っております。他作品とのコラボも、基本的にご本人様からのリクエストのみ受け付ける形となっています。折角のお話なのに、申し訳ありません。 (2019年5月4日 18時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もこすけ | 作成日時:2019年4月6日 19時

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