【文スト】この世界と番外編 その十二

まさかの動物化リターンズ ［イズコ様リクエストリクエスト］ ページ35

探偵社一同が動物化し(詳しくは番外編十にて)、その犯人を半分脅して元に戻してから数週間。
犯人はきつく締め上げ、それで弱みも握ったから安心していた。
…そう、油断していたのだ。






「…なに、こんな朝から」







『ひっ…貴女寝起きの声怖すぎよ！！と、兎に角テレビつけて！！』







あの騒動で親しく(？)なったモンゴメリから電話がかかってきた。
Aはやたらキツくなった目つきのままテレビをつける。






『えー、ご覧いただけてますでしょうか。
現在、ヨコハマの至る所で動物たちが確認されており…』







ブツッ







咄嗟にテレビを消した。
これが朝の幻覚ならどれだけ良かっただろう。







「…躾が足りなかったか…」







『怖いこと云うのやめて！あの異能者がやったのよきっと…。
オルコットちゃんから『またフィッツジェラルド様が血統書付きの犬にぃぃぃ』って連絡入ったんだから！！』






「…了解、事態は判った。こっちでなんとかするからそっちも頑張って」







一方的に電話を切り、急いで身支度をする。
その時、ハッとした。
あの異能が発動したと云うことは、まさか。







「にゃおん」







太宰が普段寝ている布団には、茶色の毛をくるくると癖毛にした猫がいた。
云うまでもない、太宰が猫になったのだ。






「普段からこれなら可愛いのに…」







擦り寄ってくる猫の喉を撫でながら深いため息をつく。
その時、家の電話と携帯が同時に鳴り響いた。






「うわ…」







咄嗟に携帯を取るが、太宰(猫)が鳴り響く家の固定電話の受話器を叩き落とした。







『小泉Aさん、辻村です！！至急異能特務課まで来てください！
街一つ巻き込んだ異能騒動です！』






『A！今話せるか！？マフィア全体が異能攻撃食らっちまって』







『坂口先輩も狸みたいな生き物になってて…直ぐに来てください！！』







『A、聞こえてるか！？今すぐこっちに！！』







辻村と中也の声に、頭痛がした。
異能特務課とマフィアからの連絡に胃痛までしてくる。
するといきなり、玄関の扉が激しく叩かれた。
キレそうになりながら玄関へ向かう。







「今度は何！！……えっ」







扉を勢いよく開けた先には白虎と白兎を抱え、オロオロする夜叉白雪がいた。
怒鳴ったせいか、しゅんとなっている。






「…ごめん」







異能相手に謝罪をした、早朝5時の話である。

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