【文スト】この世界と番外編 その十二

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その後、子どもの姉は見つかった。
彼女は何度も頭を下げて、小さな妹の手を引いて帰っていった。






「…疲れた」






子どもが去った後、メンタルに大怪我を負ったAは椅子に座り込んでいた。







「…それで、なんで貴女がここに」







Aの視線の先には、与謝野達と優雅にお茶を飲む雪の姿が。
彼女は紅茶に砂糖を三つ落とすと、ニコリと微笑む。






「暇だったのでヨコハマ観光に」







「雪さん、お菓子はクッキーとマドレーヌどちらがいいですか？」







「マドレーヌでお願いします」







「な、馴染んでいる…」







優雅にうふふと笑う姿はまさに淑女そのものなのだが、
その裏には悪魔のような本性が隠されていることには口を噤む。






「貴女、壊滅的なほど絵が下手ですね」






「容赦のない批判に心が痛む」






「底知れぬ闇を感じます」







「…久作には評判良い」







Qには「すごいすごい！」と云われた絵だが、一般的には「闇」らしい。






「貴女は模写の実力はあるようですが絵心は赤ん坊の方がありそうですね」






「うぐっ…そこまでじゃ…」







「兎への冒涜をしておいてなにを。ねぇ鏡花さん」







「…流石にあれは無い」






「ゴホッ」






兎が好きな鏡花の批判にAが吐血した。
与謝野が医務室に連れて行こうとしたので急いで起き上がる。







「…じゃあ逆に貴女の苦手なものは？」







「…その質問は予想してませんでしたね」







『うわぁ、犯人尋問する時の顔してるよ』







どこか悪どい顔のAを見て、太宰はそんなことを思う。
最近悪巧みする顔が太宰に似てきたとかなんとか云われてるが悪い気はしない。







「料理」







「むしろ得意ですね」







「絵」







「そこそこ自信はあります」







「学問」







「得意ですね」







「…武道」







「体弱いので不参加で」







それからと云うもの、生け花やピアノや色々出したが、
雪はどれも「そこそこ」「得意です」「いけますね」と返してきた。
Aがそろそろ面倒くさくなってきた時、ふと太宰が何かを思いついた。







「運転とかは？」







「なんでそれなんですか…」







「異能で瞬間移動できるなら苦手そうだな〜って、まあこれも出来そうだけど…」







「あぁ、それなら苦手です。五台廃車にしてますから」







「「…は！？」」

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