検索窓
今日:7 hit、昨日:5 hit、合計:262,200 hit

例え忘れられたとしても [つなろ様リクエスト] ページ5

「お前は誰からも忘れられ、一生孤独のままだ」






恐ろしく冷たい声と共に、体がドンと押された。
仕事柄、背後にも階段等の段差には気をつけている為、転がり落ちることはなく
後ろを向けば見たこともない男がこちらを見て嘲笑っていた。







「誰からも忘れ去られ、朽ちろ」







そんな捨て台詞と共に、黒いパーカーを羽織った男は走り去った。
不穏な台詞に違和感を覚えつつ、一応先程の男の姿を記憶する。






『なにかの事件の関係者なら探偵社に記録が残っているはず』






歩みを探偵社に進める。
すると、人々の波の先に、見慣れた白い紙を見つけた。
見間違えるはずもない、同僚の敦だ。






「敦」







後ろから声をかけると、敦は振り向いた。
だがその反応は妙で、目を丸くしてえっと、と視線を泳がせている。
どうしたの、と聞けば彼は恐る恐るといったように口を開いた。






「あの…どちら様ですか?」







「…は?」







まるで他人であるかのように、敦はそう答えた。







「なに、云ってるの。冗談ならやめて」






「いや、冗談じゃなく…!
ど、どこかでお会いしましたか?あっ、依頼人さんですか」






その言葉に、いよいよ訳が判らなくなってきた。
嘘をついて、からかっている?
いや、敦はそんなことするような性格ではない。
でも、この反応はまるで。






「どうした敦」







「あっ、国木田さん」







偶然通りかかった国木田が、二人を見て近づいてきた。
国木田はAの方を見てから、敦の方を向く。







「知り合いか?」








頭が、何かで殴られた気がした。
国木田もまた、自分のことを他人であるかのように振る舞う。
あまりの衝撃にふらついていると、二人は大丈夫かと近寄ってきた。
そこで思い出すのは、先程の男の言葉。







『お前は誰からも忘れられ、一生孤独のままだ』







忘れ去られる。
大切な人の記憶から、消える。
つい、敦達の顔を見てしまった。







「どうしました…?大丈夫ですか…?」







「具合が悪いのであれば探偵社の医務室で…」







そこまで聞いて、耐えきれなくなった。
そんな、他人みたいに話しかけないで。
私は貴方達の仲間で、他人なんかじゃない。







「ッ、そんな目で、見ないで」







そんな、他人行儀の目で見ないで。
震える足を強引に動かし、二人から逃げるように走り去った。
早く戻さないと、と呟いて。

*→←*



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (201 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
472人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

もこすけ(プロフ) - 白織さん» コメントありがとうございます。あの二人は小泉も混ざるとかなりカオスになります。もう少し続くのでお楽しみに。 (2019年1月6日 18時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
白織 - リクエストありがとうございます!最初からカオスで笑いました。これからどうなるのか楽しみです! (2019年1月6日 17時) (レス) id: a1083074eb (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - 雪豹さん» コメントありがとうございます。中也さん、混乱して語彙力低下してますね。笑っていただけて良かったです。 (2019年1月6日 17時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
雪豹(プロフ) - 中也の「…ごめんちょっと訳判らねぇや」で、吹いた(ノ∀≦。)ノ (2019年1月6日 17時) (レス) id: 5c79542a8a (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - 玲衣さん» コメントありがとうございます。制服で夜の街を歩いたせいで太宰さんが死ぬほど職質を受けた事件です。危ない絵面に見えたのでしょう…。 (2019年1月4日 20時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:もこすけ | 作成日時:2018年12月9日 11時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。