【文スト】この世界と番外編 その八

魔女の娘と兎と白虎［夜叉夜叉様リクエスト］ ページ9

A、敦、鏡花は比較的入社したのが同じ時期の三人である。
Aと敦は同期だし、鏡花は二人の後輩。
なので比較的仲も良く、プライベートでも付き合いがある。
が、仕事となると別で、戦闘向きの異能がある敦と鏡花は荒事を主に行うが、
異能を操るという、いわばあまり表に出ないAは太宰や国木田達と仕事をすることが多い。
なので今回、三人で仕事をすると云われた時は驚いた。





「依頼内容は最近多発してる、夜道や暗い道での暴行事件について。
異能者がいるせいか証拠も残らなく、財布や貴重品が盗まれている。
ちなみに被害者はいずれも女性、背後から殴られてうち三人は重症」







道を歩きながらAが資料も見ずにそう答える。
敦は慌てて資料を確認する。






「え…全部覚えたの？」






「…？」







Aはそうだけど、と当たり前のように返す。
いや、当たり前じゃない、と敦は叫びたくなった。






「Aちゃんって…本当色んな知識あるよね。
記憶力とかすごいしどうやって…」






「叔父叔母の家にいた時、やることと云ったら勉強か読書ぐらいしかなかったから。
下手に部屋の外に出ると家の関係者に嫌がらせ受けるし」






「ごめんなさい質問を間違えました」






予想以上に暗い過去をさらりと暴露され、敦は謝る。
当の本人はもう過ぎた事だし彼奴らはもう他人だからと気にもしてない。






「それで、犯人の目星は？あと、貴女に変なことをする奴は消すから云って」







「犯人の目星はある程度はついてる。あと鏡花、まだ私が電車で体触られた事気にしてるの」






移動用で用いた電車でAは体を触られた。
それでA本人が慣れた手つきで掴み上げて駅員に引き渡したのだが、
その時どちらかと云うと怒った鏡花を止める方が大変だった。
夜叉白雪すらもオロオロしていたから相当だろう。







「犯人の目星がついてる…？」






「うん、乱歩さんが教えてくれたところによると、
町外れの廃工場を拠点にしているらしい」





それなら仕事が早い。
簡単に終わりそうだ。






「で、ここで本題なんだけど」







「「？」」






「工場跡地に突入して犯人を捕縛する件なんだけど、
一人一人やるのは面倒だから最短ルートでやろうと思う」







余談だが、こういう時のAはとんでもなくえげつない作戦を思いつく。
その全容を聞いた敦は『嘘ですよね』とつい敬語になったらしい。

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