【文スト】この世界と番外編 その八

＊ ページ8

「あっははは！！頭ぶつけて入れ替わるとか面白すぎるでしょ！！」





入れ替わりを明かすと、敦は驚き、紅葉は興味深そうにし、太宰は大笑いした。
殺意すら湧く笑い声に二人の眉間にシワが寄る。
すると、この光景を見ていた紅葉がなにかを企むような顔をした。





「ところで…これが露見したら大変なことになるのう」





「あ、姐さん…？」






「わっちとて中也とAの入れ替わりを首領には報告したくないのじゃが…
困ったのう、どうしたものか」






「おいおいなんで報告すんだよ！？黙ってりゃ…」






「そうだよねぇ、仮にもマフィア幹部が探偵社員と入れ替わってたなんてバレたら大変だよねぇ」






なんで云う流れなのか。
しかもなんでそんなに楽しそうなのか。
中也は怪訝な顔をし、Aはまさか、と青い顔をする。
太宰と紅葉は同時に口を開いた。






「「一日おもちゃになるなら考えなくもない」」







紅葉はAの肩を掴み、太宰は中也の頭に手を置いた。
つまり、中身が入れ替わってる今なら色々やれるということだ。
そう、色々と。






「は、ちょ、姐さん、俺今Aなんだけど…」






「構わぬ、むしろAに色々着せたいものがあるのじゃ」






「太宰さん、顔が怖いです」






「中也の体で色々罰ゲームやろう、絶対楽しいから」






悪魔かこいつら。
だが断れば上に露見する。
中也は歯軋りをし、Aは呪い殺さんばかりの目で地面を睨む。
そして、諦めたように息を吐いた。






「じゃあ、明日の朝には返却ということで」






「勿論じゃ、ほら、A…ではなく、中也、行くぞ」






「…死にたい」






「その体で死ぬなよ、それ俺だからな」







引きずられていく二人を敦は呆然と見ていた。
翌日、散々紅葉の人形になった中也と散々太宰に恥をかかされたAの入れ替わりが解けた。
…解けたのだが。






「中也さんどういうことですか！
事情聴取した犯人が『女王のように蔑んできた少女じゃないと話さない』って
おかしな事云ってるんですけど！！」






『じゃあ俺だって云わせてもらうけどよ！！
手前俺の体でなにしたんだよ！？
部下が変な扉開きかけてるし、首領から『中也君そっちの才能あったんだねぇ』って
とんでもねぇ任務与えられたんだけど！？』






翌日、探偵社の電話に怒鳴り散らすAが目撃されたとか。
暫く二人は有らぬ誤解に苦しめられることになった。

魔女の娘と兎と白虎［夜叉夜叉様リクエスト］→←＊

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す