【文スト】この世界と番外編 その八

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体液、体液ってなんだっけ。
あぁそうだ、体に流れている液体。
血液やリンパ液、組織液、あとは唾液や涙、汗も体液だ。
無駄に豊富な知識のせいで体液の種類をズラッと想像してしまい、口を押さえた。







「…なにを、経口摂取するの…？」







震える声でそう呟けば、条野がふむ、と考える。






「この状況で最も抵抗感が少ないものとなると、涙か血液ですね」







涙か、血液。
確かに抵抗感はあるが、汗や唾液よりかは受け入れられる。
仕方ない、この部屋から出るためにはやるしかない。






「判った…じゃあ泣いて」






「…私が泣く係ですか？」







「うん」







「…構いませんが貴女、私の涙を摂取できます？」







ニコリと笑った条野に、ハッとする。
そうだ、つまり相手が涙を提供したら自分が摂取しなくてはならないのだ。
男と密着するのは、なんというか非常に抵抗感がある。






「無理そうですね。代わりに貴女が涙を出してみては？」






「悲しくもないのに泣けるわけない。
そもそも悲しくてもあまり泣かないのに」






「…涙は無理そうですね」







昔から意地でも泣かない性格が裏目に出た瞬間だった。
それに、他人の前で泣くのはプライドが許さない。
面倒な性格だと思ったが、これが自分なのだ。
涙が却下になったことにより、次の案を探さなくてはならない。






「涙が駄目となると…血液ですか」






「…まあ、血なら」







仕事柄怪我には慣れてるし、相手もそうだろう。
ちょっと傷をつけて一滴舐めれば終わる、簡単な内容だ。






「ところで、何か鋭いもの持ってますか？私は生憎今日は非番だったので持ってません」







仕事中なら軍刀を持っているが、今は無い。
そう暗に伝えるとAは苦い顔をした。
お互い銃は持っているが下手したら傷どころか風穴が開くので却下した。
だがそれ以外に武器なんて…と考えてAはおもむろに太もものホルスターからナイフを取り出した。






「これなら切れると思う」







「…小さいとはいえ、ナイフを持ち歩いてるのですか」







「おたくらに狙われるんでね」







「それは結構。…ところで一つ、何故このナイフ毒物のにおいがして…」







「…あ」







Aはそっと条野の手からナイフを取り返すと、それを太ももにしまい直し、そして別のナイフを取り出した。







「こっちなら大丈夫」







「さっきのはなんだったんですか」

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