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噛み付くように口づけをされる。
王子が白雪姫にするような優しいものではなく、
捕食されるような、息すら出来ないもの。






「んッ…!?は…んぅ…!」







突き飛ばそうとした手は、太宰により押さえつけられている。
頭が、疑問と羞恥でぐちゃぐちゃになる。
暫くすると、彼は唇を離してくれた。






「まだ判らない?」






太宰の声にゾクリとした。
熱を持った瞳も、その低く甘い声も全部。






「私はね、君が考えているほど執着は薄くないのだよ。
君はやっと手に入れた小鳥を逃すような真似はするかい?」






そう問われ、反射的に小鳥は自分なのだと理解した。
同時に、太宰の踏み抜いてはいけない部分を踏み抜いたと確信する。







「他の誰かを好きになった?
…だとしたら君を殺して死ぬのも悪くないね」






甘く見ていた。
恋とか愛とか、そういうものは綺麗事ではないと身をもって知る。






「あ、の…私は…」







「突き放さないで」







なにかを離そうとした途端、痛いくらいに抱きしめられた。
耳元で聞こえる声は先ほどの冷たい声とは打って変わって、こどものようだった。







「愛してるんだ」







その言葉に、頭が真っ白になりかけた。
愛してる?私を?
それを飲み込むより早く、太宰はゆっくりと離れた。
逆光で顔がよく見えない。







「私は…君のことをずっと…」







太宰の指が頬を撫で、それに抵抗すら出来ずに彼を見つめた。
すると、また先程のように顔が近づけられ、そして








「ああああああ!!」








絶叫と共に勢いよく飛び上がった。
変な汗と火照りを感じながら辺りを見回すと、そこはいつもの社員寮だった。
時計を見ると、時刻は午後三時。
…夢だったのだ。
眠る太宰の方を見て「死にたい」と小さく呟いた。
約四時間後、






「ふぁ…お早うAちゃん…ってなにその顔」






「…あの、別に変な意味は無いんです…正直に答えてください」






「?」






「…太宰さんって、惚れた相手の逃げ道塞いで最後には自分の元に来るようにするタイプですか」







「…え?」







「あ、やっぱりなんでもないです忘れてください…なに聞いてるんだ馬鹿らしい」







「もしかして寝ぼけてる?」







「…多分そうだと思います…ごめんなさい、ちょっと外出てきます」






「ふぅん…まあ、目的の為ならそうすることもあるかな」






「?」






「なんでもなーい」

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もこすけ(プロフ) - nino=sakuさん» コメントありがとうございます。怪談、いかがでしたか。実際に遭遇したくはないですね…。 (2019年3月26日 18時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
nino=saku(プロフ) - 主人公の怪談夜中に読んでたので普通に怖かったですw (2019年3月26日 0時) (レス) id: 2561bedadd (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - 凛さん» コメントありがとうございます。わざわざ有難いお言葉感謝します。もう少し続きますので、お楽しみに。 (2018年12月7日 23時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
- リクエスト受けてくださって本当にありがとうございます!作品とても楽しみです! (2018年12月7日 14時) (レス) id: 9fddac5d14 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - みぃちゃん,mさん» コメントありがとうございます。小泉のボーカル、見たいてますね。これから登場しますので、お楽しみに。 (2018年12月7日 10時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もこすけ | 作成日時:2018年10月28日 18時

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