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ページ20

かつての同級生達は、嗤う。





「いっつもつまらなさそうな顔をして、
ちょっと頭いいのか知らないけど"私は貴方達とは違いますよー"みたいな感じ」






「て云うか、色々出来すぎて怖くなかった?
私あの子の"同じ人間じゃない"みたいな目、怖かったよねぇ」






理解されない天才は除け者にされる。
頭がいいだけでなく、何処か異質さを持つ、それだけで普通の同級生達からは遠巻きに見られた。





「…あの子を異星人として見てたのは君たちだろうに」





太宰が低い声でそうこぼす。
出会った時から、彼女の苦悩を知っていた。
だからこそ、彼女の苦悩を知らず、ただただ嫉妬するだけに飽き足らず
自分とお前は違うのだと突き放した者達には軽蔑しか抱かない。





「まあ、居なくなって良かったじゃん」






「ッ、ちょっと」






あまりの云い様に敦が女子高生達に割って入ろうとした。
だがその手を太宰が掴んで静止する。






「やめ給え、どうせ彼女達にはあの子の想いなんて判らない」






「でも…」






「…あんな奴らにあの子が理解できるはずないだろう?」






氷のような、いや、それ以上の冷たさを孕んだ声に敦は喉を鳴らした。
嫉妬しか出来ない、努力もしようとしない馬鹿な女と、
才能はあっても努力を惜しまないあの子、理解なんて出来るはずがない。






「理解しようとしない者には一生判らない、だから教えても無駄だよ」






太宰の、侮蔑を滲ませた言葉に敦は力なく頷いた。
そして、街の人々から忘れられたAのポスターを悲しげに見つめていると、クイッと敦の服の裾が掴まれた。
視線を落とすと、そこにはまだ幼い女の子がおり、敦の顔をじっと見つめていた。






「お兄ちゃん、このお姉ちゃんのお友達?」






「え!?あぁ…うん…」







幼い少女はその言葉にパァっと目を輝かせ、そして小さなバックから何かを取り出した。






「これ、あのお姉ちゃんにあげて!」






そう云って渡されたのは、紫色の硝子玉だった。
敦が首を傾げていると、少女はニコッと笑う。







「お姉ちゃんがね、一緒にママ探してくれたの!
ありがとうって云いたかったのに居なくなっちゃったから…これ!」






敦の手の中で硝子玉がキラリと光った。






「お姉ちゃんみたいに綺麗なビー玉だよ!」





少女は笑う、屈託のない笑顔で。
先程少女達が怖いと云った目を、綺麗だと云って。
敦はぎゅっと硝子玉を握りしめた。

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もこすけ(プロフ) - nino=sakuさん» コメントありがとうございます。怪談、いかがでしたか。実際に遭遇したくはないですね…。 (2019年3月26日 18時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
nino=saku(プロフ) - 主人公の怪談夜中に読んでたので普通に怖かったですw (2019年3月26日 0時) (レス) id: 2561bedadd (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - 凛さん» コメントありがとうございます。わざわざ有難いお言葉感謝します。もう少し続きますので、お楽しみに。 (2018年12月7日 23時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
- リクエスト受けてくださって本当にありがとうございます!作品とても楽しみです! (2018年12月7日 14時) (レス) id: 9fddac5d14 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - みぃちゃん,mさん» コメントありがとうございます。小泉のボーカル、見たいてますね。これから登場しますので、お楽しみに。 (2018年12月7日 10時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もこすけ | 作成日時:2018年10月28日 18時

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