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太宰相手に読み合いで勝とうなど到底無理な話だ。
あの悪巧みと人心掌握術の悪魔に丸腰で挑むなんて馬鹿な真似はしない。
「じゃあ、じゃーんけーん」
「ところで太宰さん」
「ん？」
「私、どうしても勝って貴方に書類整理をさせたいんですよ」
突然のAの行動に敦達は首を傾げるが、太宰は判っていたのかにっこりと笑うだけ。
「なら尚更負けられないなぁ」
「そうですね。ここは正々堂々勝負しましょう。
…ところで、最近面白い女性に会ったんですよ」
Aが懐から携帯を取り出し、画面に映る女性の顔を太宰に見えるように掲げる。
その女性を見ると太宰の目が僅かに細められた。
「四年半ほど前、ある男性に心を奪われ、にも関わらず相手は半年後消息を絶った…。
今でも彼を愛しているらしく"地獄の底まで"会いに行くつもりらしいです」
この女性、ご存知ですよね。
Aが母親によく似た、ゾッとするほど美しい声で太宰に問う。
「…やるようになったねぇ。
それで？それがどうしたんだい？」
「いいえ何も。
この人に太宰さんの居場所を云うつもりもありませんし、
この勝負とはなんの関係もありません。
…でも、負けたら私、なにをするか判りません」
携帯をパタンと閉じ、Aはそれを机に置いて僅かに口角を上げた。
この女、遠回しに脅してる。
敦達は戦慄し、女王のように椅子に座るAを見つめる。
「うふふ…いいねぇ、相手の弱みを握るのは賢い手段だよ」
「そんなつもりは無いんですが…不思議ですねぇ」
無駄に太宰のやり口を見て、被害には合ってない。
日頃の恨みを込め、最大級の嫌がらせを。
勝った、勝利を確信した。
「さ、つまらない話をしました、続けましょう」
「あぁそうだねぇ、…ところで、私もつまらない話があるのだよね」
え、と顔を上げるとそこにはニヤニヤと笑いながら携帯の録音機能のボタンを見せる太宰の姿が。
なんだ、あの絶妙に腹が立つ笑みは。
「私もね、ある同居人の女の子の恥ずかしーい寝言を録音したのだよ」
「…は！？」
「珍しくってね、録っちゃった❤」
初めからこの勝負にフェアなどない。
あるのは、どれだけ相手を試合前に打ちのめすことが出来るかどうかの試合。
あまりにも汚い勝負に誰かが「えげつない」と呟いた。
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もこすけ(プロフ) - ReiLeiさん» コメントありがとうございます。そんなに読んでくださりましたか。とても嬉しいです。ありがとうございます。 (2018年12月26日 20時) (
レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
ReiLei(プロフ) - 3週目するくらい面白い。 (2018年12月26日 17時) (レス) id: e65e94b2de (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - 朧月さん» ありがとうございます。これからも頑張りますので応援よろしくお願いします。 (2018年10月28日 15時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
朧月(プロフ) - リクエストありがとうございました！これからも更新を楽しみに待っています＼(^^)／ (2018年10月28日 15時) (レス) id: 061be1d3a8 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - 嬉しいお言葉ありがとうございます。こちらもリクエストをいただき、こうして書けることがとても楽しいです。皆様のおかげです。これからもよろしくお願いします。頑張ります。 (2018年10月27日 16時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もこすけ
| 作成日時：2018年9月29日 19時
