＊ ページ36
モニターを撃とうとするAを落ち着かせると、彼女はため息をついて云う。
「この部屋はクリアしないと出られない…やるしかないんだ…」
「ほ、本気？脱ぐんだよ？下着姿になるんだよ？」
「やるしかない。前回も前々回もやらないと終わらなかったから」
「うぅ…そんなぁ…女の子脱がせるのはちょっとまずい気が…」
「私が脱ぐこと前提で話してるところ悪いけど、私は負けるつもりないよ」
「…え？」
ふと敦が顔を上げると、既に迷いを捨て、据わった目のAがいた。
お前はなにを云ってるんだと云わんばかりに敦を見て、手首を鳴らす。
「こうなった以上、慈悲は捨てるし負ける気はない。
敦、これからは敵だからお互い頑張ろう」
「待って！もう僕を敵と見なしたの！？もうすこし話し合いを」
「じゃーんけーん」
「駄目だもう聞いてない！！」
反射的に、敦はチョキを出したが対するAはグー。
初っ端から負けた。
呻き声を上げてネクタイを取る。
アイテムもカウントに入るらしい。
「ぼ、僕も負けるつもりはないよ…！」
「へぇ…上等」
Aは何処か嗜虐的に僅かに笑う。
その笑い方は悪巧みする時の太宰によく似ていて、敦は冷や汗を流す。
だが負けられない、敦は拳を握り、再び賭けに出る。
「じゃんけんぽん！」
勝てた、あっさりと。
Aなら敦の考えなどすぐ判りそうだがどうして。
そう考えていると、Aはするりとスカートの下の太ももからベルトのようなものを取り出して床に置いた。
「え、なにそれ」
「ナイフホルスター」
「ないふほるすたー」
「他にもスタンガンとか針とかも仕込んである」
「すたんがんとかはり」
「それもアイテムに入るわけだから…もう意味判るよね」
つまり、ほぼ武器の仕込みがない敦と、身軽に見えて服の下は凶器だらけのA。
そもそも、スタートからアイテムの数が違うのだ。
「人生はずる賢く生きた者が勝つんだよ」
発想の勝利、先手必勝、勝者が正義。
理不尽すぎる現実に、敦の脳内はそんな言葉で埋め尽くされた。
目の前にいるのは同期ではなく、頭の回転が恐ろしく早い敵なのだと。
「こんなのってないよ！！」
「残念ながらあるんだな、ほらまた負けた。もう一枚脱いで」
非情にそう云うAに敦は呻きながらサスペンダーを取るのだった。
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もこすけ(プロフ) - ReiLeiさん» コメントありがとうございます。そんなに読んでくださりましたか。とても嬉しいです。ありがとうございます。 (2018年12月26日 20時) (
レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
ReiLei(プロフ) - 3週目するくらい面白い。 (2018年12月26日 17時) (レス) id: e65e94b2de (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - 朧月さん» ありがとうございます。これからも頑張りますので応援よろしくお願いします。 (2018年10月28日 15時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
朧月(プロフ) - リクエストありがとうございました！これからも更新を楽しみに待っています＼(^^)／ (2018年10月28日 15時) (レス) id: 061be1d3a8 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - 嬉しいお言葉ありがとうございます。こちらもリクエストをいただき、こうして書けることがとても楽しいです。皆様のおかげです。これからもよろしくお願いします。頑張ります。 (2018年10月27日 16時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もこすけ
| 作成日時：2018年9月29日 19時
