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尾崎幹部とツンツン娘 [カプチーノ様リクエスト] ページ33

また拉致された。
目の前で優雅に茶を飲む女性にジト目を向けていると彼女は着物の裾で口元を隠して楚々と笑う。






「そう怖い顔をするでない。いつものことじゃろう」






「話があるなら普通に誘ってほしい…」








「お主、それで一度電話したら無視したではないか」







「あれ太宰さん」







「…矢張り彼奴か」








着物の女性、尾崎紅葉は「嫉妬は醜いのう」と茶を飲む。
目の前に置かれた茶をAもコクリと飲んだ。








「…美味しい」








「そうじゃろう」








つい口から出た言葉に紅葉は嬉しそうに笑う。
品のある香りと苦味が心地よく、茶菓子も茶とよくあって美味しい。
自然と口元が綻ぶ。







「それで、相変わらず良い相手はいないのかえ」







「…」







「その顔はおらぬようじゃのう」







「いや…だって」







至って普通に、当たり前の事を口にするようにAは云った。







「異性として魅力を感じる人が居ない」







「…中也が哀れになってきたわ」








十八歳の容赦ない言葉に少し茶が苦く感じた。
紅葉は苦味を茶菓子で誤魔化し、それより、とAの方を向く。







「良い着物が手に入ったのじゃがのう」







「急用を思い出した」








嫌な気配を察知したAが立ち上がるより早く、紅葉は部屋の障子を閉じる。
流石マフィア幹部、一切無駄がない。







「お主なら似合うじゃろう。…堪忍して大人しくしてくれぬかえ」







「…『金色夜叉』」







「させるか」







異能を操られる前に手早く口にハンカチを押し付け、手段を無くす。







「やめ、おい…!服脱がすな!!」







「ええい、大人しくしろ」







「きゃ、やめ…ッどこ触ってる!!」







「ほう、矢張り肌は白いのじゃな」







中からガタンバタンと聞こえる物音。
そして時折聞こえる悲鳴。







「紅葉様!どうかなさいました…か…」








「なんでもない、気にするな」







外で待機していた部下は部屋の障子に手をかけ、固まる。
黒髪の少女が息を切らして紅葉に取り押さえられているところを見たからだ。
しかも、かなり乱れた服で。







「何か見たかえ」







「…なにも」








その少女が少し前に捕縛命令が出た少女に似ていたことを、部下は記憶から消して障子を閉じた。
再び、中からは物音と悲鳴が聞こえてきた。

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Ohata(プロフ) - 泣いて……いいですか?(織田作ぅ!!) (2022年8月22日 23時) (レス) @page11 id: 9a3ac744f2 (このIDを非表示/違反報告)
ハック - おっ織田作さんぁぁぁぁぁああぁあああああん (2021年8月25日 17時) (レス) id: 0c5e7e9ecb (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - 砂色のコート、赤い髪…お、おださっ…ああああああああああああっっ!!(号泣) (2021年1月1日 0時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - まつかわもちさん» はい、アナベルをモデルにして少し違うものにしております。 (2018年9月30日 11時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
まつかわもち(プロフ) - 呪いの人形って、もしかしてアナベル……ですか? (2018年9月30日 10時) (レス) id: 895f1d2de6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もこすけ | 作成日時:2018年8月8日 15時

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