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あの手紙がとうとう職場にも届くようになった時、もう相手が諦めることを待つのはやめた。







「一人になれば出てくるだろ…」







夜の街を一人で歩きながら手紙を握りしめる。
もう一人になって相手が出てきたところを自力で解決する方が速いと判断したのだ。
警察も頼りになるが探偵社なら自力で解決しよう。








「骨の一本や二本折ってもこの際いい」








ある程度まで歩いたところで、なんとなく封筒が分厚いことに気づく。
壁にもたれかかり封を開けてみる。








「…は?」









そこには写真が入っていた。
社員寮に入っていく写真、依頼に向かう時の写真、社員達と話している時の写真。
どの写真も自分はカメラの存在に気づいていない。
云いようのない恐怖に肌が粟立つ。







『貴女は優しいから誰にでもその笑みを見せるのですね』







「ッ!」








そんな文の下に、社員達一人一人の写真が入っていた。
その顔には大きなバッテンが殴り書きされている。








『彼らが居なくなれば貴女は私のものになりますか?』








グシャッ。
つい手に力がこもってしまい、手紙はぐじゃぐじゃになる。







「…私のものに、なるか?」








ふざけてる、誰かのものになる?
そんな馬鹿げたことに彼らを巻き込もうとしているのだとしたら、








『絶対に許さない』








あちらから来る前にこっちから手を打とう。
好意なんて綺麗なもので飾り付けられた下に醜い欲が蠢いているならいっそ壊してしまった方がいい。







「まず監視カメラ仕掛けて…人物を特定したら…」









その時、肩を掴まれた。
瞬間、その手を掴み、思い切り地面に投げつける。
相手が起き上がる前に体と首を押さえつけて動きを封じる。
すると、漸く相手の顔が見えた。







「…あ」








「待って僕だよ!」








見慣れた白髪が冷たい地面に落ちていた。
ぶん投げた相手は同僚の敦で、「首、首締まる!」と叫んだので直ぐに手を退ける。








「すごかった」









気配もなく鏡花が出て来る。
Aの一本投げに感動しているようだ。







「なんでここに…?」








「いや、えっと…偶然見つけて!」







「最近様子がおかしいから見ててくれって頼まれた」







「誰に…?」








「社の皆に」









その言葉にAの紫の目が揺れる。
そして何処かで、誰かの目が憎悪に歪んだ。

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Ohata(プロフ) - 泣いて……いいですか?(織田作ぅ!!) (2022年8月22日 23時) (レス) @page11 id: 9a3ac744f2 (このIDを非表示/違反報告)
ハック - おっ織田作さんぁぁぁぁぁああぁあああああん (2021年8月25日 17時) (レス) id: 0c5e7e9ecb (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - 砂色のコート、赤い髪…お、おださっ…ああああああああああああっっ!!(号泣) (2021年1月1日 0時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - まつかわもちさん» はい、アナベルをモデルにして少し違うものにしております。 (2018年9月30日 11時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
まつかわもち(プロフ) - 呪いの人形って、もしかしてアナベル……ですか? (2018年9月30日 10時) (レス) id: 895f1d2de6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もこすけ | 作成日時:2018年8月8日 15時

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