検索窓
今日:29 hit、昨日:13 hit、合計:324,668 hit

妙なものに好かれる[メアリアナ様リクエスト] ページ27

朝、いつも通り寝ている太宰より先に布団から抜け出し、玄関の方へ向かう。
郵便受けから今日の新聞やらなにやらを手に取る。






「…ん?」








新聞やチラシに紛れて、手紙が入っていた。
黒い封筒に入った、少しの厚みがある手紙。








『また爆弾とかないよな』







過去、何回か太宰の女に爆弾を贈られたことがある。
郵便受けを開けたら爆弾が入っていた時、本気で別のところに住もうかと思った。
確認するように封筒に触れる。
封筒の中に爆弾らしき感触はなく、とりあえず部屋の机の上に置く。








「…差出人の名前がない」








いよいよ怪しくなってきた。
やはり太宰宛のものか、だとしたら危険物の可能性はかなり大きい。
なんとなく裏を見てみると、そこには丁寧な字で自分の名前が書かれていた。








「私宛…誰が?」








生憎、交友関係が限られている自分には手紙を書くような相手はいない。
関係は殆ど探偵社だし、話したいことがあるなら社で話せばいい。







「誰だこれ」








純粋に気になり、封を外して中から便箋を取り出した。
十枚に及ぶ便箋の一枚に目を通した瞬間、それを机の上に投げつける。







「なんだこれ…」








便箋が黒くなるほど敷き詰められた、文字。







『貴女を一目見た時から私の心は貴女のものです』







『貴女の気高いその瞳が好きです』







『愛しています』








ぎっしり敷き詰められた、愛の言葉。
長々と綴られたそれは恋人相手ならさぞや嬉しいだろうが生憎、今は未知の恐怖しか感じない。








「嫌がらせ、ではないよな…」








手紙に見え隠れする、狂気。
薄ら寒いものを感じながら、封筒をよく見ると、そこには切手がついていなかった。
つまり、差出人は直でここに来た、ということ。








「…まずいな、これ」








Aは封筒に手紙をしまうと、洗面台の方に向かい、ライターを手に取った。






『きっと指紋なんて見つからないだろうし…燃やそう』






手元に置いておくのが気持ち悪いならどうするか、そう、燃やすしかない。
制服も燃やしたAらしい焼却方法だ。
封筒に火をつけるとそれはゆっくりと広がっていく。







「ふぁ…おはよう……え、なに!?なんで紙燃やしてるの!?」







「…お焚き上げ」









同居人の太宰の言葉を流しながら、灰になっていく手紙を見つめる。
これで話が終わる、そんなことあるはずもないが。

*→←*



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (222 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
354人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

Ohata(プロフ) - 泣いて……いいですか?(織田作ぅ!!) (2022年8月22日 23時) (レス) @page11 id: 9a3ac744f2 (このIDを非表示/違反報告)
ハック - おっ織田作さんぁぁぁぁぁああぁあああああん (2021年8月25日 17時) (レス) id: 0c5e7e9ecb (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - 砂色のコート、赤い髪…お、おださっ…ああああああああああああっっ!!(号泣) (2021年1月1日 0時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - まつかわもちさん» はい、アナベルをモデルにして少し違うものにしております。 (2018年9月30日 11時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
まつかわもち(プロフ) - 呪いの人形って、もしかしてアナベル……ですか? (2018年9月30日 10時) (レス) id: 895f1d2de6 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:もこすけ | 作成日時:2018年8月8日 15時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。