【文スト】この世界と番外編 その五

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まさかの前回元凶のAが初めの犠牲者だった。
不可抗力だから仕方ないというルールだが、どうやらそれは無理らしい。







「…惨劇再び」








誰かがそう呟いた。
珍しくニッコリ笑っているAとガタガタ震える梶井。
完全にライオンと子兎の図だった。







「次、行きますわよ」







「それ怖いね…」








似合いすぎている女王様口調に一同目をそらす。
太宰は代表してそうこぼしつつ、箱の中に手を突っ込んだ。








「あ！私よ！」








引いたのはエリスだった。
自分で無かったことにAは明らかに不機嫌そうに舌打ちをする。








「そうね…六番が十五番に壁ドンして！」







幼女らしい乙女チックな内容に少しだけ場の空気が穏やかになる。
が、この場合男同士の可能性もあると気づいた瞬間、それは戦慄に変わった。








「…誰が当たった」








「は、はい…六番です…」








おずおずと手を挙げたのは敦だった。
まさかの男、これで男が来たら惨劇だ。
そう思い、皆が十五番を探していると、探偵社側から声があがった。







「あら、私ですわ」








谷崎の妹、ナオミが十五番だった。
相手が男でないだけ救われたと思うが、それはマフィア側の意見。
探偵社からすればこの組み合わせは最悪の中の最悪だった。






「駄目だナオミ！そんな、そんなこと許さないよ！！」








「でも命令ですわ」







「ごめんなさい谷崎さんんん！」







シスコンの谷崎の妹であるナオミに壁ドンとはどういうことか…。
つまり、死である。







「ごめんなさい谷崎さん…本当、ごめんなさい…」







「敦くーん、もっと近づきなよー」








「太宰さんやめてください！さっきから視線が痛いんです！！」







なんとか壁ドンはした。
が、羞恥心より谷崎への恐怖心が勝った敦は甘酸っぱい雰囲気なんて出せず震えるだけ。







「なんか読んだ本と違うのね」







「エリスちゃん、一体いつ読んだんだい？」







「リンタロウ五月蝿い。うーん、もういいわ！」







エリスの許可がおりた瞬間、敦は跳びのき、ナオミは「あらあら」と微笑む。
震える敦の肩を、鬼がつかんだ。








「敦君…ちょっと話いいかな」








修羅と化した谷崎に敦は悲鳴をあげる。
その光景をナオミは何故か嬉しそうに見ている。








「修羅場…」








「Aちゃん口調」








「ですわ！！」

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