検索窓
今日:20 hit、昨日:13 hit、合計:324,659 hit

ページ18

見られた、中也に未来を見られた。
自分と結婚していると云うあり得ない未来を。








「おい…マジかよこれ…」








「ッ、だから云ったじゃないですか…」








だから云ったのに、なんで見た。
つい口調が強くなり、頭を押さえる。
すると、壁に立っている中也が何故かムッとした顔をする。








「そんなにこの未来が嫌かよ」








「…はぁ?」








中也の言葉につい失礼な声が出てしまった。
だが、それも仕方ない。







「中也さんは…私でいいんですか。
私との未来が…その、幸せかも判らないし、
それに貴方に想い人が居たら…本当になんと謝ればいいか…」







そこまで云って、中也が立つ壁がビシリと割れる。
ギョッとして中也の方を見上げると彼は顔を手で押さえてなにかをブツブツ呟いていた。







「こっちは願ったり叶ったりなのにッ…あー、手前はなんでそう…」








暫く彼はよく聞こえないことを呟くと、よしと顔をあげ、ふわりと地面に降りた。
そしてまるで明日の天気でも告げるように云う。







「じゃあ、もういっそ今結婚するか?」







「…は、い?」







今彼はなんと云った?
結婚?結婚と云ったか?
いや、もしかしたら決闘の間違いじゃ。







「もう一度お願いします」








「俺と結婚しねぇか」








「…それ日本語ですか?」








おかしい、何度聞いても結婚としか聞こえない。
耳がおかしくなった可能性も、彼が異国語を話している可能性も今さっき消えた。








「あの、何故そうなるんですか」








「俺がそれでもいいって思ったからだよ。
それにどちらにせよ未来は変えられねぇだろ」








確かに変えられないかもしれないが、それでいいのか。








「中也さんは…それでいいんですか?」








子どものような顔で聞いてくる少女に中也はあぁと頷く。
折角手に入れたチャンスを逃せるほど自分は優しくない。
一度罠にかかったなら捕らえるまでだと。








「俺はそれでもいいぜ?」








紫色の目がゆらりと揺れる。
相変わらず疎いが、未来は変わらない。
つい口元が緩む。








「ほ、本気ですか…?」








「あぁ」








「でも…」








「おいおい未来を変えんのか?」








「えっと…え…」








珍しくはっきりしないAにもう一押しだと口を開こうとすると、聞きたくない声が響いた。








「はーい、そこまで」

*→←*



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (222 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
354人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

Ohata(プロフ) - 泣いて……いいですか?(織田作ぅ!!) (2022年8月22日 23時) (レス) @page11 id: 9a3ac744f2 (このIDを非表示/違反報告)
ハック - おっ織田作さんぁぁぁぁぁああぁあああああん (2021年8月25日 17時) (レス) id: 0c5e7e9ecb (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - 砂色のコート、赤い髪…お、おださっ…ああああああああああああっっ!!(号泣) (2021年1月1日 0時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - まつかわもちさん» はい、アナベルをモデルにして少し違うものにしております。 (2018年9月30日 11時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
まつかわもち(プロフ) - 呪いの人形って、もしかしてアナベル……ですか? (2018年9月30日 10時) (レス) id: 895f1d2de6 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:もこすけ | 作成日時:2018年8月8日 15時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。