【文スト】この世界と番外編 その四

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Aが説明したルールは以下のものだった。
一人３枚ずつ、命令を書いた紙を作り、箱の中に入れる。
そしてクジを引いて王様になった人が箱から命令を引くというものだった。








「これなら揉め事は生まれないはずだし、人の変化で番号を読める人も居なくなる」







敢えて誰とは云わなかった。
我が社が誇る名探偵とか、元最年少五大幹部とか、そんな特定の人の名前を挙げていない。







「ふむ…たしかに、それなら問題はなさそうだねぇ」







「怨恨が生まれぬ。…それでいこう」









双方の組織の長が許可を出した。
ルールは、Aのものが適用されることが決まった。








「…」









その一瞬、Aは少しだけ口角をあげた。
隣に座る敦がえ、と目を見開くがAは一瞬で表情を元に戻した。








「では皆さん書けましたでしょうか」








それぞれが命令をかいた紙を箱に入れ終えた。
ここから、惨劇が始まるとも知らずに。








「王様だーれだ！」








エリスの掛け声で皆は一斉に割り箸を引っこ抜いた。
Aはチラリと割り箸を確認した。
どうやら王様ではなかったようだ。
だが、何故か彼女は不敵に笑った。








「最初の王様はー？」








「あ、僕だ、うはははは！！」








「よりによって梶井かよ…」








テンション高めな梶井に中也は疲れたようにうな垂れた。
彼は上機嫌で箱に手を突っ込む。









「なにが出るかな、なにが出るかな」








「歌うな、早く取れや」








「せっかちだなぁ！ん、これは…ふふふこれにしよう！」








箱の奥深くの紙を選んだ梶井。
かかった、とAは人知れず笑う。








「僕の命令はー、これだぁぁ！！」








半分に折られた紙をかかげる。
そしてそれをるんるん気分で開き、静止した。








「？」








「おい、梶井？」








一同が首をひねる中、Aはあれを引いたか、と梶井を哀れんだ。
不審に思った立原が静止する梶井の手から紙を引き抜き、読み上げる。









「えー、王様が与謝野晶子の治療を受ける…ってなんだこれ」








その瞬間、与謝野は立ち上がり、梶井の首根っこを掴んで笑った。








「素敵な命令だねぇ、書いた奴、感謝するよ」









「ひ、嫌だ、あああああ！！」









絶叫する梶井を引きずり、与謝野は退室した。
残された部屋の中、張り詰めた空気が漂う。
間違い無く、惨劇の幕開けだった。

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