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二十五話 [爆弾魔襲撃の探偵社] ページ27

「…物騒な世界だとは思っていたがまさかここまでとは」



物陰からそっと覗きこみ、彼女は端正な顔立ちを盛大に歪ませた。



「嫌だァ…もう嫌だ…」



視線の先には、ガタガタ震えながら明らかに危ない雰囲気を纏う青年の姿。
左手に持っているスイッチから、彼が国木田の云う爆弾魔だと推測するのは容易かった。



「ぜんぶお前等の所為だ…『武装探偵社』が悪いンだ!」



青年は縛られているセーラー服の少女を掴む。
猿轡をされている少女の顔は恐怖一色だった。



「社長は何処だ!早く出せ!でないと…、
爆弾で皆吹っ飛んで死ンじゃうよ!」



傍にある機械はどうやら爆弾のようだ。



「あちゃー」



「あれ、なんですか…毎日こんなことあるんですか」



「怨恨だ。流石に毎日ではない」



「犯人は探偵社に恨みがあって
社長に会わせないと爆破するぞ、と」



「ウチは色んな処から恨み買うからねぇ」



「でも社長に会わせたら会わせたで爆破させる」



「え、そうなの!?」



「当たり前。社長に会って貴方達恨んでますごめんなさいとはならない」



爆弾魔に見つからないようにそっと爆弾を確認する。
遠目なのでハッキリとは確認できないが、大まかな形は把握できた。



「うん…あれ、高性能爆薬だ。
この部屋くらいは吹き飛んじゃうね」



「爆破したら僕達も…」



「即死だ。肉片撒き散らして死ぬ」



「やめてAちゃん…」



慄く敦。
すると太宰が口を開く。



「爆弾に何か被せて爆風を抑えるって手もあるけど…この状況じゃなぁ」



「…どうする?」



僅かな沈黙。
社長に会わせても先程Aが言ったように殺そうとするだろう。
しかも国木田によると、社長は出張で不在らしい。



「人質をどうにかしないと…」



太宰と国木田の視線が交わる。
まさか異能力か?敦がそう期待した瞬間、



「うわ…」



彼らはじゃんけんをした。
数回のあいこの後、軍配は太宰に上がった。
勝った太宰はニヤリと笑う。
対して国木田は悔しそうに拳を握りしめた。



「…行ってらっしゃい」



どうやら国木田が行くようだ。
舌打ちをして、爆弾魔に近づく。



『それにしても物騒な世界だな』



少女は爆弾をチラリと見て、ため息をついた。

二十六話 [説得とは難しいもの]→←二十四話 [或る爆弾]



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太宰の包帯希望者 - シリアスううううう!めっちゃ好みです!更新頑張ってください (2月5日 22時) (レス) @page21 id: efd9a7d1a1 (このIDを非表示/違反報告)
条野さんの鈴飾り食べたい - ネタが思いつかないので申し訳ないのですがこちらの『この世界で生きるのは不可能という結論が出ました』の小泉ちゃんとコラボさせて貰っても宜しいでしょうか?誠に勝手で申し訳ございません。 (2022年12月17日 11時) (レス) id: 36ec43f1b9 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - 碧さん» ご指摘ありがとうございます。実はあえて意味がおかしい英語にしています。その話自体がギャグのような内容なので、正しい英文より、日本語に直すと面白い英文の方が良いかと思い、あえて間違った内容にしております。 (2021年12月14日 7時) (レス) id: 102f3088ed (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 二十三話太宰の中のドラムになってませんか? (2021年12月12日 18時) (レス) @page25 id: 6588339009 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - ルチアーノさん» ご指摘ありがとうございます。直しておきます。 (2021年3月23日 20時) (レス) id: 102f3088ed (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もこすけ | 作成日時:2018年3月11日 14時

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