検索窓
今日:6 hit、昨日:27 hit、合計:22,381 hit

58:思わぬ助け ページ10

ー鳴宮side



結局、休憩の後俺らは昼ご飯まで何もできずに時間を過ごした。
小野木も静弥も、マサさんに何か言う気が失せてしまったのか、何も言わなかった。

それは、石崎さんの言葉をずっと引きずっているからだろう。


(…どうすればいいんだろう)


本当に勝ちたいように見えないと言われ、そんな訳ないと思いながら否定もできなかった。

何で?俺らは勝ちたいためにやってるんじゃないのか?

何か行動しようにも、何をしても“違う”と言われそうで、何もできなかった。

(じゃあ何が正解?模範回答を教えてほしい…)


聞いても石崎さんは教えてくれないだろう。

悶々と思考を巡らせるも、答えは見つからず。
果てには、昼食の準備の時間が来てしまったのだった。



ーー


ー台所


昼休憩前、俺らは昼食の支度をするために弓道場を出た。
台所へ行くと既にマサさんのお母さんが準備をしていて、何品かは完成間際だった。

俺たちが来たのを見た彼女は、こんな事を切り出す。

滝母「あら、お疲れ様。
丁度良かったわ。誰かお漬物の野菜を切ってくれる?
そうねぇ…竹早君にお願いしようかしら。」


(!っ静弥は駄目だ!!)

竹「はい、わかりましー」
山「いやっき、切るのは湊がいいですよ!!」

鳴「そ、そう。切るのは俺がやります。静弥は皿洗ってなよ」


マサさんのお母さんはきょとんとしたが、言われた静弥は逆に少しムッと口を尖らせた。


竹「2人ともどうしたの?野菜を切るくらい僕だってできる。」

山・鳴「絶対やめたほうがいい。」


他は知らないだろうけど、静弥は料理全般苦手だ。
前に包丁を扱って血だらけになってクラス中を騒がせた事がある。
それ以来家庭科の授業では静弥に包丁を持たす人はいなかった。そして静弥自身、家では料理をしてないだろう。
とすれば、包丁を持てばどうなるか凡そ検討がつく。


すると、俺たちのやりとりを見てたマサさんのお母さんは笑った。


滝母「ふふ、そうね。
手を怪我したら弓道どころじゃなくなっちゃうわね。」


嫌味のない言葉が計らずもサクッと突き刺さった。


鳴「!っそう、ですね…」


表情に出ないように取り繕う。
しかし、彼女はすぐに違和感に気づいた。

59:初心→←57:重さ



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (92 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
265人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

白雪 - 初めまして、白雪と申します。ツルネの話が読めて嬉しいです。更新楽しみにしています! (12月26日 11時) (レス) id: c47909f85b (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 紅さん» ありがとうございます!!数年前の一期の話ですが…気長に読んでいただければ嬉しいです! (7月29日 20時) (レス) id: 2bd9d8ee2e (このIDを非表示/違反報告)
- とっても面白いです!!続き楽しみにしてます! (7月29日 8時) (レス) @page17 id: b3496c9ef0 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: | 作成日時:2023年4月2日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。