52:新鮮 ページ4
ー鳴宮side
寝る体勢に入る小野木の布団を如月が引き剥がす｡
如｢えーっこれからがお楽しみっしょ!!｣
小｢おい七緒!てめぇ何すんだ!!｣
引き剥がされた布団は如月によって部屋の端まで追いやられた。咄嗟に布団を戻そうとする小野木に、彼はそうはさせまいと立ちはだかる｡
如｢かっちゃん1人だけ寝るなんてさせないかんねー｣
小｢じゃあお前も寝ろよ!!｣
如｢まさか俺がこのまま静かに寝ると思う?｣
ニッと笑うと彼は小野木の布団を持つと狭い部屋の中で逃げ出した｡
それを小野木は苛立つ表情で追う。如月は楽しそうだ｡
俺の隣で静弥が呟く｡
竹｢…猫のじゃれ合い｣
山｢ブフッ!!｣
竹｢だって既視感ない?｣
山｢静弥やめっ…もうそれにしか見えないんだけど!｣
にっこりと笑う静弥と笑いをこらえる遼平｡
そろそろ11時を越えようとしているのに、寝ずに騒ぐ彼らをぼーっと見て、俺はどことなく“新鮮だ”と感じた｡
(思えば桐崎の時は結構ドライだったな)
的中が全て、結果が全てのあの学校ならこんな合宿はしない｡
別にそれが居心地悪かった訳じゃない。確かに集中できたし常にいい緊張感だった｡
けれど今の空間はそれとは別物だ｡
(…ああ。俺、今、このメンバーと隣室にいる女子たちと、合宿に来てるんだ｡)
当たり前の事なのに、改めてそう思った｡
この空間に、この場所に、俺だけじゃなくて他の人もいて、一緒に弓道をしに来てるんだ｡
そんな事を考えてると、唐突に名前を呼ばれ俺の意識は一気に現実世界に戻った｡
如｢鳴宮!パスパス!!｣
鳴｢え?…うわっ!｣
ボフッ!!と如月から渡されたのは彼が持って逃げていた小野木の布団だ｡
彼を見れば既に小野木に捕まった様子で、楽しそうに笑って｢逃げて逃げて!｣と俺に言う｡
だが、隣の小野木は逆に険しい顔でこちらに近づいてきた｡
如｢早く早く!かっちゃんに捕まる!｣
小｢おい鳴宮それ返せ!｣
鳴｢えっちょ…静弥!｣
咄嗟に静弥に渡す｡
小野木の鋭い視線が静弥に止まる｡
しかし静弥はどこ吹く風で流れるように遼平に布団を流した｡
竹｢僕じゃ小野木から逃げられないから遼平あげるよ｣
山｢ええっ俺ぇ!?｣
受け取ってしまった遼平はついに逃げ出した｡
けれど室内なので逃げるには狭すぎる｡すぐに彼に捕まり再び猫のじゃれ合いが始まった｡
いや…猫と大型犬かな
結局ギリギリまで起きていた俺らは翌日マサさんに叩き起されるのであった｡
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白雪 - 初めまして、白雪と申します。ツルネの話が読めて嬉しいです。更新楽しみにしています！ (12月26日 11時) (
レス) id: c47909f85b (このIDを非表示/違反報告)
蒼(プロフ) - 紅さん» ありがとうございます!!数年前の一期の話ですが…気長に読んでいただければ嬉しいです！ (7月29日 20時) (レス) id: 2bd9d8ee2e (このIDを非表示/違反報告)
紅 - とっても面白いです!!続き楽しみにしてます! (7月29日 8時) (レス) @page17 id: b3496c9ef0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼 | 作成日時：2023年4月2日 16時
