69:経緯 ページ21
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女子達と稽古の片付けを済ませ、バーベキューを行う場所へと移動する時、蓮さんと少し話した。
『へぇ、絵本作家さんだったんですね。』
蓮「そうそう。東京のほうで活動してるんだ。
Aちゃんは出身は東京なんだよな?大学は向こうのほうが多いだろ?」
『はい。けどやりたいものができる所が案外なくて、一人暮らし前提で色々受けたら丁度ここが受かったんです。
自炊になるしバイトはしなくちゃなぁとは思っていたんですが、まさか森岡先生に声をかけられるとは思いませんでした。
それも道端で』
蓮「道端で声かけられたのか!?そりゃとんでもない縁だな。」
『全くです。マサさんと先生は元々お知り合いだったんですよね?』
蓮「らしいな。
アイツ元々コーチは断ってたみたいだけどね。」
『えっそうだったんですか?』
意外な経緯に驚く。
なんならふたつ返事でOKしてたのかと思ってた。
蓮「そうなんだよ。けどどういう心境の変化か結局引き受けた。
まあ俺は今日来てそれで良かったと思ったけどね。」
蓮さんは茜色の空を見上げる。
蓮「雅貴は弓道に関しては真剣でな。
というより“尖ってた”イメージ。あいつ、コーチ始めてから丸くなったよ。
なんか、別の目標でも掲げたのかね」
思い出すように言う。
私は“コーチしているマサさん”くらいしか知らなけど、彼の知らない一面を聞くのはなんだか新鮮に感じた。
『別の目標…射はきっと元々追い続けているでしょうし…何かコーチを受けた事に関連しているのかもしれませんね。』
蓮「追い続けるねぇ…弓道家ってのは熱心だな。
やっぱAちゃんから見ても雅貴はすごいのか?」
『すごいですよ。
正直、初めて弓を引く姿を見た時凄すぎて逆にドン引きしました。
綺麗すぎて』
蓮「見惚れちゃった?」
冗談めいた表情で蓮さんが私に聞く。
『見惚れが1割、嫉妬と羨望が9割ですかね。』
蓮「おっとそいつはおっかない。」
笑って言えば、彼も笑ってかえした。
(本心ですよ、蓮さん)
冗談だと思われているのかはわからない。
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白雪 - 初めまして、白雪と申します。ツルネの話が読めて嬉しいです。更新楽しみにしています! (12月26日 11時) (レス) id: c47909f85b (このIDを非表示/違反報告)
蒼(プロフ) - 紅さん» ありがとうございます!!数年前の一期の話ですが…気長に読んでいただければ嬉しいです! (7月29日 20時) (レス) id: 2bd9d8ee2e (このIDを非表示/違反報告)
紅 - とっても面白いです!!続き楽しみにしてます! (7月29日 8時) (レス) @page17 id: b3496c9ef0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蒼 | 作成日時:2023年4月2日 16時