60:話し合い ページ12
ーnoside
昼ご飯の後、鳴宮たちは女子たちが昼休憩をしている間に安土の整備と的替えを行っていた。
まず元々たててあった的を全て外し、安土に水をかけて土をならす。そして穴の多く開いた的を昨日張った新しい的に交換する。
5人が分担して作業をする中、ホースで水をかけている如月が口を開いた。
如「皆さ、石崎さんの言ってる意味わかった?」
山「いやー全然!
というか何を言えばいいのかわかんないもん」
竹「けど…石崎さんの事だから、多分何か意図はあるはずだよ。」
小「けどそれがわかんなきゃ意味ねぇよ。」
鳴「…」
竹「…湊?」
竹早が鳴宮に声をかける。彼は何か考え事をしていたのか土をならす動きがいつもよりゆっくりだった。
鳴宮は竹早のほうを向く。
そして、その場にいた4人に問いかけた。
鳴「…なあ、皆弓道始めたばっかの時ってどうだった?」
4人「…?」
唐突の投げかけに全員の動きが止まる。
竹「それは…どういう?」
鳴「ずっと、石崎さんの“初心に戻って考えろ”て言葉が引っかかってるんだ。
何か、そこにヒントとかないかなって」
如「初心ねぇ…遼平はどう思う?」
山「俺?七緒たちでもわかんないなら俺なんかわかる訳ないよ」
如「いや、案外するとかもよ?
初心に戻るって、技術的な事じゃないし」
山「え〜?」
大きな身体を屈んで土をならす山之内は困ったように頭を抱えた。
しかし彼に助け舟を差し伸べる者はいなく、ただ黙って回答を待つだけだった。
山「……う〜ん……どう思うって言っても…まず今の俺が初心者だからなぁ…
ただでさえ石崎さんからの課題だって書く事多くて書ききれないのに…」
鳴「!遼平、石崎さんからの課題の紙今持ってる?」
山「え?持ってるけど…」
山之内がズボンのポケットから少しくしゃりとした紙を取り出す。
それを鳴宮に渡すと、周りの小野木らも紙を覗いた。
そこには、強みの箇所は真っ白で改善点だけがいくつも書かれていた。
山「俺よくわかんないから、言われてる事ばっかしか書けてないけど…」
本人がそう言う通り、紙には彼が日頃から言われてる内容が多かった。
しかし、それ以外にもいくつか鳴宮や竹早がアドバイスした事のないものも書かれている。
竹「すごい…あの時間でこんな書けたね」
山「妹尾さんとか見てると“あー俺ここできてなさそうだなー”とか思ってさ。
まだあんま違いわかんないけど」
鳴「…いや、合ってるかも」
紙を見ながら鳴宮が呟いた。
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白雪 - 初めまして、白雪と申します。ツルネの話が読めて嬉しいです。更新楽しみにしています! (12月26日 11時) (レス) id: c47909f85b (このIDを非表示/違反報告)
蒼(プロフ) - 紅さん» ありがとうございます!!数年前の一期の話ですが…気長に読んでいただければ嬉しいです! (7月29日 20時) (レス) id: 2bd9d8ee2e (このIDを非表示/違反報告)
紅 - とっても面白いです!!続き楽しみにしてます! (7月29日 8時) (レス) @page17 id: b3496c9ef0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蒼 | 作成日時:2023年4月2日 16時