50:悪い事 ページ2
ーno side
滝「もう少し煽るか」
Aにそう宣言した通り、滝川は昼ごはんの間だけではなく午後の稽古も鳴宮らを煽り、こき使った。
そのせいか、“マサさんだから”と我慢していた彼らは次第にポツリポツリと不安と不満を漏らし始めた。
しかし、1日目ついに男子は弓すらも持たずに終わった。
ー
ーP.M6:00
稽古後、ご主人様である女子と同じ女子であるAはその特権で先に風呂に入った。
団体専用の大きめのお風呂は女子4人にはかなり余裕がある。各々先に身体を洗うなり湯船に浸かるなりした頃、花沢がAに聞いた。
花「Aさん男子アレで大丈夫なんですか!?」
Aがちょうど湯船に浸かろうとしていた足を止めて彼女の方を見ると、花沢は少しむっとした表情をしている。
そこに白菊と妹尾も同調した。
白「確かに男子のあの様子を見てしまうと流石にやりすぎな気がしますわ」
妹「正直ずっとやらせてもらってるこっちが気が引けます…」
『はは、皆優しいな』
彼女は笑って湯船に浸かる。
話をスルーしようとするAに、妹尾らはさらにむっとした。
妹「…合宿は自由参加で、その間男子は下僕という事を承知で参加してるはずですが、それでもやりすぎだと思います。」
花「ていうかマサさんと蓮さんしか楽しんでない気がする!」
『…んー』
ごめんマサさんフォローできない、とAは心中彼に謝る。
そしてお湯をすくい思いっきり顔にかけると両手を額にあてた。
(どっちの意見もわかるんだよな)
合宿中になんとしても男子の仲をどうにかしたい滝川と、男子の弓を引かせてもらえない環境をどうにかしたい女子たち。
手っ取り早く滝川の目的を全て話せればいいのかもしれないが、それでは意味がない事をAはわかっていた。
(多分、マサさんは男子の仲だけじゃなく男女の仲もはかってるんだろうな。
だから簡単に部員には言えない…
とはいえ、マサさんの煽り様は正直目に余るし数日間弓が引けなくなると身体の感覚が変わる。)
何が正解なのか、彼女は合宿が始まる前から何度も考えていたが、答えは誰も与えてくれない。
最終的には自分で答えを出すしかないんだと腹を括ったAは顔を上げると花沢達に聞く。
『…男子に弓を引かせたい?』
3人「!」
静かに聞いたAを見た彼女たちは、少し驚くもしっかりと頷いた。
Aは悪戯っ子のようにニッと笑った。
『なら、少し協力してもらおうか』
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白雪 - 初めまして、白雪と申します。ツルネの話が読めて嬉しいです。更新楽しみにしています! (12月26日 11時) (レス) id: c47909f85b (このIDを非表示/違反報告)
蒼(プロフ) - 紅さん» ありがとうございます!!数年前の一期の話ですが…気長に読んでいただければ嬉しいです! (7月29日 20時) (レス) id: 2bd9d8ee2e (このIDを非表示/違反報告)
紅 - とっても面白いです!!続き楽しみにしてます! (7月29日 8時) (レス) @page17 id: b3496c9ef0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蒼 | 作成日時:2023年4月2日 16時