短編集。

立花彩の恋愛相談。 ページ20

放課後。



最近は、
騒々しい クラクションを聞く事が 多い。





「2度と乗せねぇ」





そう言いつつ、毎回 乗せてくれる、煩い奴。



若武を 思い出しちまうのは、秘密。遊ばれるネタを 提供するほど、お人好しじゃねぇよ。



妖怪パソコンに ドアを開けろ、
と 言うと、身長の高い奴が 出迎えてくれて。





「よっ」


「七鬼って、暇なの？ 毎日 家にいるじゃん」


「それは、俺の台詞だろ。
　毎日 家(うち)に来る 上杉教授」





話し方も、薄い微笑みも、妙に 癪に障って。



思わず 呟いてしまう。





「それ、黒木のだろ……」


「俺がどうかした？ 上杉教授」





舌打ちしたけど、仕方ねぇよな。この状況。



後ろに、クスっと 艶やかに微笑む 漆黒の髪。

前には、ニヤニヤ笑う 菫色の髪。



本っ当 食えねぇ奴。どっちも。





「とりあえず、中に 入りたいかな。
　美門と七鬼からの 依頼、完璧にしたいし」





何だそれ、
と 言いたいのを 抑えて、家の中へ。



黒木に、後で説明するから黙ってろ という視線を向けられて、仕方なく。



部屋に入ると 骸骨が、珈琲を持って来て。

やっぱり、このロボット すげ……。



珈琲を 一口飲んだ 黒木が、話し出す。





「美門と七鬼から、

　アーヤの様子が 変な理由を 探ってほしい、と言われて 捜査してる」





……は。

立花の様子が、変？



七鬼に 目を向けると、黙って 頷かれて。





「俺らも、予想は あるよ。

　だから、黒木に 裏を取って貰ってる。

　その後は、立花が 自分で決断する事だ。俺らは この問題に 介入できない」





珈琲カップを 優雅に 傾けながら、明確な事を話さない ITの天才に 腹が立って。



思わず、掴みかかる。

対人関係のエキスパートに 止められてしまうのは、習慣化してきている。





「アーヤが 恋してるようでね。
　本人は 最後にしようと思って、他の人に、話を聞いた」


「……立花が？ 誰に？」


「クラスメート。
　アタックされるうちに 俺らのお姫様も その気になった、って所かな」





黒木の言葉に、意外なほど冷静な 自分がいて。



立花がそいつを好きで、そいつも 立花が本気で好きなら、止められねぇよな……。



黒木が スマホを見せてくる。

美門からの、メール。





『若武に 集合を要請した。今回の集合は アーヤから。
　アーヤの捜査 どうなってる？ それ関連の相談を、皆にしたいみたい……』

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