短編集。

。 ページ18

収録開始から 4時間。





「勝者は、一般人チーム！」





スタジオが 座喚く。



無理もない。相手は、芸能人の中でも、クイズ番組で 活躍する人ばかりだから。



前に並んでいる 浜田組、隣の 司会者の片割れさん、その隣の小塚と ハイタッチを交わす。





「黒木、あいつら どうにかしろよ」





後ろを向き、砂原の隣を見る。



そこには、手を取り合って 踊ってる2人。……突っ込む気にも なれない。



苦笑いを返しながら、喜びを分かち合う為の 拳を出す。砂原が、拳をぶつけてくる。



やっぱ、俺らは ハイタッチじゃないな。



クスッと笑みを零すと、ニカッと笑って。
ちょっと ムカつく。近親憎悪だ、仕方ない。





「100万円 チャレンジ〜！」





司会者の声に、気合を入れ直す。ここまで来たら、100万 貰って帰りたい。



1分間で 全員が1問ずつ答えれば、ゲームクリア。パスは 片割れさんの判断で行われる。



序盤は、かなりのハイペース。



上杉が計算、小塚が生物、砂原が遺跡、俺が料理、美門が閃きの問題を 答えて。



その後、パスを使って、片割れさんが植物、七鬼が国旗の問題を答えた。残りは 2人で20秒。



余裕……かな？



前の席では、美門と七鬼が アーヤが力を抜けるよう、声をかけてる。じゃ、問題は 後ろか。



振り向くと、砂原が 肩を竦めて。



……あぁ。





「クリアできたら、100万だけじゃない。

　事件を解決した時 報道して 貰いやすくなるぞ、って言っとけよ」





青い顔の若武に 砂原が、
耳打ちすると、一瞬で 目に 輝きが戻って。





「ホントか、黒木っ！」


「あのー、
　勝手に話し出すの やめて貰えます？」





司会者に 突っ込まれた。



次に 漢字の問題が出て、アーヤが クリア。残りは15秒。



なのに。



その後、若武が苦手な 地理と歴史 ばかりで。



パスも難しくて、わかんない問題に 時間かけたり、わかった所で パスされたり。



ラスト 5秒。





『ひらがなクロスワード

　 た
さ□じゅうし
　 て
　 い

　□に入る文字は？』





あぁ、これは。



One for all, all for one.



若武も わかるだろ。





「探偵！」





ゲームクリアを告げる 音が、
スタジオに、大きな歓声を 湧かせる。





「一般人チーム 100万円チャレンジ 成功！
　おめでとう ございまーす！」





拳を ぶつけ合う。



……楽しい、な。




皆と出逢えて良かった、と思った 瞬間だった。





Fin.

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