13 ンダホとぺけたん�� ページ13
ンダホside
ぺけたんを担いで廊下にでて、緑色に染まったドアに向かって歩く。
「ンダホ、ごめん…っ」
苦しそうな声が響く。
「大丈夫」
何と言っていいか分からず、考えに考えて出た言葉はそれだった。
ぺけたんは定期的に40度近くの熱を出す。激しい運動をしたとき、お酒を飲みすぎたとき……何か気にしていることがあるとき……。
部屋について、ゆっくりとベッドに下ろすと、ぺけたんはまた口を開いた。
「この前…、強く当たってごめん…」
「大丈夫」
ああ…またこの言葉。
……大丈夫、か。
「ン、ダホは…本当にいい奴だよ…あり、がとう…」
何て返すのが正解なんだろうか。
優しくなんて、ない。
「ぺけ、はさ、」
ゆっくり口を開く。
「覚えてる…？俺、ぺけに…悪いことした」
「……へ…？」
ぺけたんは寝返りをして、壁側を向いた。
俺に背を向けて、か細い声で「何を？」と言った。
「昔、不良に絡まれてたぺけたんを……見捨てたことがある…」
「…………」
「俺、そのとき、弱くて」
「…………」
「助けられなかった」
「…………」
「やり返されたらどうしよう、とか、もし標的が自分に変わったら、とか。そんなことばっかり考えてて」
「…………」
しばらくの沈黙は、俺をさらに追い詰めた。
ああ…次は？次は何て言ったらいい？
「ほら、や、優しく、ないだろ？」
なに言ってんだ、俺。
本当は次に何を言えばいいのか分かってる。
でも、それをどんな顔して言えばいいのか、それが分からなかった。
「そんなん、覚えてないよ」
沈黙を破ったのは、ぺけたんだった。
「そ、そうだよな」
そう答えるしかなかった。
「でも、それならそれでいい」
ぺけたんは背を向けたまま、そう言った。
「過去じゃなくて、今を見つめよう。何があったか分かっていることを、わざわざ掘り返す必要はないよ。それよりも、明日、明後日、その先に起こる何かを目指して歩いた方が、きっと楽しいよ」
熱におかされているとは思えない、流暢な言葉だった。
そしてそれは、正しかった。
「ンダホ」
ぺけたんは寝返りをうつと、こっちを向いた。
「生涯、隣で歌ってね」
最高のパートナーの笑顔は、久しぶりで、かつ、温かかった。
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ぬけ - メンバーカラーに間違いがありますよ。 (2021年3月21日 16時) (
レス) id: 327d12f359 (このIDを非表示/違反報告)
好美 - とっても面白かったです!続きがめっちゃ楽しみです！更新楽しみにしています！ﾖﾛ(｀・ω・´)ｽｸ！お願いします！ (2018年3月21日 10時) (レス) id: a5df8dade2 (このIDを非表示/違反報告)
れやーと - 初めまして。表現が豊かで、展開が凄く素敵だと思いました…！更新も楽しみにしています。作者様のペースでいいので、頑張ってください(●´ω｀●) (2017年10月21日 14時) (レス) id: 560fb3554a (このIDを非表示/違反報告)
魚軍団ファン - 面白いです！次が楽しみ。 (2017年7月16日 16時) (レス) id: 8764f628a2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちっち | 作成日時：2017年7月14日 1時
